脳卒中の二次的障害〜肩関節亜脱臼〜
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 脳卒中片麻痺の二次的障害はリハビリテーションのみならず、日常生活にも大きな影響を与え、QOLまで低下するといわれています。

 脳卒中の疾病そのものによる器質的障害を第一的障害と呼び、その後に一時的障害の発生時には存在しない、経過に引き続いて発症する障害を二次的障害と呼んでいます。

 

麻痺側上肢におこる二次的障害には、

肩関節亜脱臼

複合性局所疼痛症候群(CRPS)

手部の浮腫

などが挙げられます。

 

今回この3つの症状の中で

「肩関節亜脱臼」を学んでいきます。

 

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肩関節亜脱臼

肩峰と上腕骨頭の間が触診可能な隙間がある肩甲上腕関節に機会的完全性の変化と

定義されています。

発症率は重度上肢麻痺(BRSⅢ以下)では、17〜66%と報告されています。

また、亜脱臼が脳卒中後の肩関節疼痛の発生に関与しており、特に重度の上肢麻痺を呈した対象者は、麻痺側上肢の管理が不十分であった際に出現するといわれています。

 

 

原因

 

1.上腕骨頭を肩甲骨関節窩に押さえつけている筋が弛緩している。
  特に、棘上筋、三角筋の弛緩によるもの

 

2.大胸筋・広背筋、上腕二頭筋の短縮

 

3.上腕骨を支えている関節包、靭帯の伸張

 

が主な原因とされています。

 

脳卒中早期の肩関節亜脱臼の原因として、棘上筋・三角筋を中心とする肩関節周囲筋の麻痺により、上肢の重量のために生じると予想されています。

 

 

経時変化

 

興味深い文献があったので紹介します。

この図は、発症から6ヶ月未満の亜脱臼を認めた症例25例について、約3ヶ月後に再度X線の撮影を行い、亜脱臼の変化を調べています。亜脱臼の改善が11症例に認められていますが、9例が不変、5例が悪化しています。初期評価時に上肢BRSⅢ以上の症例は運動麻痺の改善やBRSⅢ以上になると共同運動が認められ、肩周囲の筋収縮が強度以上となるため、亜脱臼は改善してきます。しかしBRSⅠまたはⅡの症例では、肩周囲の筋収縮が十分に得られないため、運動麻痺の改善は得られにくく亜脱臼は、永続的に残り中には悪化していきます。

引用:脳卒中片麻痺患者の肩関節亜脱臼の検討

 

 

リハビリ・治療

 

ポジショニング

長時間の三角巾の着用は基本的に避けたほうがいいとされています。
理由として、長時間使用する事により、拘縮や屈筋痙縮を助長する恐れがあるからです。
そのため、亜脱臼しているから三角巾をつけるといった
無意味に使用はお勧めしません。


対策としては、

車椅子座位などでは、前腕下にクッションを挟むことや、カットアウトテーブルの上に前腕をのせるのがよいとされています。

また、臥床時では、一般的に肩関節を保護するためにクッションを用いて、肩甲帯や上肢を支持する事を一般的に行っていると思います。しかし、睡眠中は寝返りなどで、クッションの位置がずれ、麻痺側上肢が良肢位に保持されないため、疼痛に生じる原因になります。


対策として、

三角巾を緩く巻き、尚且つ寝返りした際に上肢が三角巾から抜け落ちないように、三角巾を巻いた上から寝巻きを着る。(麻痺側上肢は袖を通さない)また、肩甲帯と上肢を支持するためにクッションを併用すると、夜間帯、疼痛なくまた、良好なポジショニングを保たれます。

また、先ほど無意味な三角巾の使用は避けるべきだと書きましたが、夜間帯の就寝時の使用は、日中に対して、筋活動量は少なく肩関節拘縮を助長させる危険性は低いと考えています。

 

関節可動域練習

脳卒中ガイドラインより、麻痺側肩の関節可動域制限および疼痛に対して関節可動域練習は勧められています。しかし、疼痛の訴えがあるのに実施したりすると、余計に疼痛を誘導したり、増強する恐れがあるため、絶対に避けるべきです。

 

機能的電気刺激

脳卒中ガイドラインより、運動麻痺の関節可動域と亜脱臼の改善目的として、機能的電気刺激(FES)が勧められているが、長期間の効果の持続な無いとされていますが、亜脱臼に対しての確率されたアプローチは少ない状態です。2018の文献では、亜脱臼を呈した上肢重度麻痺の5の症例に対して、装着型電極(FEE)を使用し、上肢反復促通運動を実施した結果、5名とも介入時から退院時まで、亜脱臼の改善は維持できたとの報告もあります。

 

参照文献
脳卒中回復期上肢麻痺による肩亜脱臼に対して機能的電気刺激を実施した事例報告
脳卒中ガイドライン2009

 

 

まとめ

 

脳卒中片麻痺の二次的障害はリハビリテーションのみならず、日常生活にも大きな影響を与え、QOLまで低下する。
発症率は、重度上肢麻痺(BRSⅢ以下)では17〜66%と報告されている。

 

原因として、
上筋、三角筋の弛緩により、上腕骨頭が肩甲骨関節窩から離れる。
大胸筋・広背筋、上腕二頭筋の短縮
上腕骨を支えている関節包、靭帯の伸張
とされる。

 

経過として、
上肢運動麻痺BRSⅠまたはⅡで経過していくと亜脱臼は、不良・悪化する。
上肢運動麻痺BRSⅢまで向上すると、亜脱臼の改善が認められやすくなる。

 

リハビリ・治療
意味を要さない三角巾の使用は、拘縮や屈筋痙縮を助長する。
三角巾・アームレストの使用は、行う意味を持って使用する。

関節可動域練習は、疼痛の緩和、可動域の改善が期待されるが、疼痛を伴うと悪影響となる。

機能的電気刺激は、関節可動域・亜脱臼の改善が期待できる。

 

とのことを今回学びました。

次回は、複合性局所疼痛症候群(CRPS)について調べようと思います。

 

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