脳卒中の二次的障害②〜複合性局所疼痛症候群〜
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前回「肩関節亜脱臼」についての記事を書きました。

今回は、脳卒中の二次的障害の中に含まれている


「複合性局所疼痛症候群(肩手症候群)」

について調べていこうと思います。

 

 

はじめに

 

脳卒中後の疼痛は、14〜43%に生じるといわれています。
その中で、「肩手症候群」がよく知られていると思います。

実際に肩手症候群は、

複合性局所疼痛症候群(complex regional pain syndrome:CRPS)のtypeⅠ

とされています。

 

複合性局所疼痛症候群とは

 

複合性局所疼痛症候群は、脳卒中対象者の12〜23%に生じ、重度な片麻痺における肩周辺の痛みとともに、関節可動域制限、同側の手の痛み、浮腫、皮膚温・色の変化や、発汗異常などの血管運動性変化、皮膚の栄養障害、拘縮を認め肩や手の骨萎縮を呈する症候群であるとされています。

また、上肢BRS–Ⅲ以下の重度運動麻痺に多く発症します。

疼痛も慢性的に持続し、夜間帯や触れられただけで疼痛を誘発してしまう為、精神的苦痛も強くなり、思考や感情だけでなく、行動までもがネガティブになり「うつ」を引き起こすとされます。

 

 

複合性局所疼痛症候群の発生メカニズム

 

主な原因として、

・組織損傷ストレスによる末梢神経(交感神経を含む)

・神経ペチプドの過激放出による神経性炎症。

・中枢神経系の感作や可塑的変化。

・情動的ストレス。

との関係が強いとされています。
(※明確な見解は得られていない。)

 

症状

 

 症状として、

・炎症症状:上肢の強い疼痛・腫脹・皮膚色変化

 

・神経症状:異常知覚・異痛症(アロディニア)

 

・異常栄養症状:皮膚・爪・筋・骨の萎縮性変化

 

・交感神経症状:皮膚音の異常・発汗の異常

が挙げられます。

 

 

経過

 

経過として、

脳卒中、発症後数日から、遅いもので6ヶ月を経過して出現し、3ヶ月までに約7割が発症するといわれています。

画像URL:http://i-erika.com/room/img/crps.jpg

 

 

【Lankfordの病期分類】

[第1期 初期] (期間:0〜3ヶ月)

症状
局所の疼痛、局所腫脹、感覚過敏、皮膚温の上昇・
発汗の上昇が起こります。手指の場合は、伸展した位置をとっていることが多く、屈曲に対しての制限が生じます。また、他動的屈曲で強い痛みを起こす事が多いです。

 

[第2期 中期] (期間:3〜9ヶ月)

症状
疼痛の広範囲化。皮膚の萎縮・筋の萎縮・可動域制限の悪化が起こります。

 

[第3期 末期] 期間:9ヶ月〜

症状
麻痺側全体の廃用、関節拘縮、皮膚萎縮がされに著明となり、回復が困難になります。

 

診断・評価

 

診断基準として、

2008年に厚生労働省が「複合性局所疼痛症候群判定指標」を発表しました。

この判定基準では、皮膚・爪・毛の萎縮性変化・関節可動域制限、異痛症、異常痛覚過敏、または持続性、不釣り合いな痛み、発汗異常、腫脹などの自覚症状のうち2項目以上に当該するものを、CRPSと判定します。

画像URL:https://www.jspc.gr.jp/Contents/public/pdf/shi-guide01_11.pdf

リハビリテーション

 

 

現在、有効といわれているリハビリテーションは確立されていない状態です。

行われているリハビリテーションとして、

 

・疼痛緩和、拘縮予防を目的とした、ポジショニングや、
    関節可動域訓練。

 

・交感神経の緊張緩和を目的とした物理療法
(TENS・温浴・ホットパック)。

 

などが一般的とされています。

 

一方、海外の文献では、

脳卒中後の複合性局所疼痛症候群typeⅠの対象者に、従来の物理療法(TENS・温浴療法)と、上肢有酸素運動(アームクランクエルゴメーター:10W /分)を行なった所、対象者は有意な疼痛軽減、複合性局所疼痛症候群の症状が減少したとの報告があります。
参考文献:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25943440

 

まとめ

 

今回、複合性局所疼痛症候群(肩手症候群)について調べてみましたが、メカニズムやリハビリテーションのエビデンスは不足している印象を受けました。

その中でも、対象者の為に少しでも疼痛や複合性局所疼痛症候群の症状が減少できるように、僕たちは最善を尽くすべきだと強く感じました。