高次脳機能障害〜行為・失行症状〜
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ホームページの訪問ありがとうございます。

今回は高次脳機能障害の「行為障害」についての記事を書きました。

症状から評価・治療までの流れをまとめていきます。
よろしければ、最後まで読んで頂くと嬉しいです。

 

 

行為とは

Googleで調べた所、

「行為とは、おこない。ふるまい。特にしようという意思をもってする行い。」

と出てきました。

つまり、

人間の行動の中で単なる運動や動作では無く、具体的な意図をもった行動

の事をいいます。

行為に対しての障害が生じると、「失行症」と「それ以外の行為障害」にわける事が出来ます。

 

 

失行症とは

 

失行症は

「運動麻痺や失調など運動器官に問題がないのに行為に失敗する現象」

であるとされています。失行症には症状に合わせ分類されており、それぞれの
定義
責任病巣
症状
を理解することがとても重要です。

 

 

 

失行症の分類

 

①観念失行

定義:道具や物品を使用する際の誤り。

症状:道具の把持、使用法、操作対象の選択、系列動作の順序を間違える。
例)櫛の使い方がわからない。など

責任病巣:左頭頂葉〜後頭葉にかけて

 

②観念運動失行

定義:道具使用のパントマイムや社会的習慣性が高く、客体を使わない行為の誤り。

症状:道具を使用する真似で自分の肢節を道具に置き換える事や、バイバイなどの身振りで失敗する。

責任病巣:左頭頂葉・縁上回

 

 

③肢節運動失行

定義:熟練しているはずの運動行為の拙劣化

症状:手袋をはめる。ボタンをかけるなどの行為がぎこちなくなる。

責任病巣:前頭葉運動前野

 

 

④拮抗失行

定義:右手の行為に対して左手が不随意に反対目的の行為をする。

症状:右手で服を着ようとすると左手がそれを邪魔するなど反対目的の行為をする。

責任病巣:脳梁体部後端部

 

 

⑤脳梁失行

定義:左手の行為の障害

症状:左手の錯行為、無定型動作、保続などの口頭命令や模倣の際に生じる。

責任病巣:脳梁体部後部1/3

 

 

 

失行症以外の行為障害

 

失行症が頭頂葉を含む病変で確認されるのに対して、前頭葉を含む病変で認められる行為の障害がいくつかあります。以下に分類します。

 

A運動維持困難

定義:閉眼、開口、舌を出すなどの動作を1つあるいは2つ以上同時に維持出来ない。

症状一定方向を注視できない。肩関節のplacingなどの肢位維持訓練をすぐに止めてしまう。

責任病巣:右前頭葉

 

 

B運動無視

定義:病巣と体側の上肢の運動が低下する。

症状:片手動作は可能であるが、両手動作では麻痺側上肢を使用しない。

責任病巣:補足運動野

 

 

C把握反射

定義:手掌面を遠位方向にこすりながら圧刺激を入れると、手指の屈曲がおこる。

症状:握った手指を開く事が出来ない。

責任病巣:前頭葉内側面

 

 

D本能性把握反射

定義:触覚刺激あるいは視覚提示により示されたものをリーチし握る。

症状:車椅子移乗中であっても、手すりやベッドのそばに来るとそれに手を伸ばし掴む。

責任病巣:前頭葉内側面、前部帯状回

 

 

E他人の手徴候

定義:一側上肢があたかも、他人の手のような行動をとる。

症状:行動はまとまりが無く、把握反射を伴う事が多い。

責任病巣:前頭葉内側面、脳梁膝部

 

 

F道具の強迫的使用現象

定義:右手が眼前に置かれた物品を強迫的に使用してしまう。

症状:指示が無いにも関わらず、机上に置かれた鉛筆を紙で書いたり、櫛で髪をとかしたりする。

責任病巣:前頭葉内側面、脳梁膝部

 

 

G利用行動

定義:眼前に置かれた物品を使用してしまう。(両側性の行為障害)

症状:指示が無いにも関わらず、お茶を入れたりする。机上におかれた複数の道具を両手で操作する。

責任病巣:前頭葉下部

 

 

 

失行症の評価

 

失行症を含む行為障害の評価を行う際に重要となる事として、

事がとても大切となります。

 

運動麻痺はあるのか?

感覚障害を伴っているのか?

筋緊張異常は生じていないか?

等を確認する必要があります。

 

また、対象者の物品の認知については、

失行症を伴う対象者は失語症を合併している事が多い為、言語をどの程度理解しているか?

を事前に評価する必要があります。

失行症状を総合的に評価出来るツールとして、

「標準高次動作性検査(SPTA)」

があります。

 

観察においても、

習慣的動作=チョキのサイン・おいでおいでの仕草

慣れ親しんでいる物品操作=箸やスプーンなど

は出来るか?拙劣さは無いか?等を観察で評価出来ます。

 

 

リハビリテーション

 

リハビリテーションにおける介入法として、

から治療法を組み立てていきます。


①脳の損傷部位から組み立てる。

損傷部位はどこなのか?

障害のある感覚様式の残存機能の利用と、障害を受けていない感覚様式での代償という観点から治療を考えます。

例:後頭葉損傷の場合
・動作模倣や見た道具から動作をする事が困難である事が予測されます。視覚からの動作要請には何らかの工夫をすると共に、視覚以外の感覚(聴覚や体性感覚)を利用していきます。

 

 

②失行症の誤りかたから組み立てる。

まずは、観察が大切となります。「どの様な場面で動作を誤るのか?」「何がなぜできないのか?」「どうすれば出来る様になるのか?」を把握する必要があります。

例:スプーン操作を行う事が出来ない。

どの部分でエラーが生じるのか、工程を確認し問題を明らかにする必要があります。

 

 

③手続き記憶の視点から組み立てる

失行症が改善するにあたり、「動作の再獲得」「新しい方法での獲得」が必要になってきます。
その際に重要となってくるのが、「手続き記憶」となります。
治療する前に、対象者は手続き記憶の評価を行い、新しい動作を獲得出来るのかを見極める必要があります。

 

 

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。