高齢者に多い「大腿骨頸部骨折」について
Pocket

本日もブログに訪れて頂き有難うございます。
ブログを運営している作業療法士のYudai(@yudai6363)です。

今回大腿骨頸部骨折についてまとめました。

内容として、比較的わかりやすい様にしています。一般の方にも、大腿骨頸部骨折とはどの様な事なのか理解できるかと思います。また、医療従事者の方も、復習を込めて一度確認してみて下さい。

 

 

はじめに


現在、高齢化が進んでおり、2016年のWHOの発表では、
日本の女性平均寿命は86.8歳。男性が80.5歳と男女合わせると、83.7歳で世界1位となっています。

また、平均寿命と健康寿命の差、すなわち介護を要する時間は、2013年には女性は12.4年、男性は9.02年と年々延びてきているのが現状です。

介護が必要となった要因として、

骨折や関節疾患などの運動疾患が男女合わせて22.7%と、約4.5人に1人が運動疾患が原因で介護が必要となる。

というデーターが厚生労働省から出ています。

 

 

 

高齢者の骨折の原因


高齢者の骨折の背景には、

骨量の低下(骨粗鬆症)および筋力・バランス機能低下により転倒しやすくなっている事が原因として挙がります。

まれに、癌などの悪腫の転移による病的骨折起こしている場合があります。

 

 

 

高齢者の骨折箇所


高齢者の骨折には、「骨強度の低下による脆弱骨折」が多いのが特徴的です。

主な部位として、

大腿骨頸部

胸腰椎

上腕骨頸部

橈骨遠位端

などに多く認められます。

参考図:ヒューマン・アナトミー・アトランス

 

その中でも、大腿骨頸部骨折の頻度が高く、毎年10数万人が受傷しています。

また、骨折を機に「寝たきり」「車椅子生活」「閉じこもり」になってしまう対象者が多く社会的な問題となっています。

 

スポンサードリンク

 

 

大腿骨頸部骨折後の治療


骨折後の治療において、「保存療法」「手術療法」にわける事が出来ます。

保存療法の場合は、骨折部の安定が得られるまでに数週間〜数ヶ月間、骨折部の安静を保つ必要があります。
脊椎圧迫骨折や橈骨遠位端骨折で骨折部の安定が得られている場合は、「保存療法」を選択する場合が多いです。

一方、高齢者の大腿骨頸部骨折の場合は、長期の安静により、筋力低下・認知症・肺炎・褥瘡などを発症し、寝たきりになってしまう頻度が高い事がわかっています。近年では「手術療法」を選択し、早期からリハビリテーションを行う事で機能的能力の改善を図っていきます。

 

下の表からも分かる様に、

2014年には、約55800人が年間に手術療法を実施しており、今後も高齢者の人数が増加する限り手術件数は増えてくる事が予想されます。

イラスト:関節ライフ

 

 

 

手術療法の種類


大腿骨頸部骨折を呈した対象者に対して、行われる手術療法の代表法として「人工関節置換術」という方法があります。

人工股関節置換術では、関節を神経のない人工物に置き換える事によって、機能的能力の改善を図る事ができる治療効果の高い手術です。

人工股関節置換術の種類として、

・全人工股関節置換術

・人工骨頭置換術

の2種類があります。

 

 



手術方法
骨折等により、変形した関節を、金属やセラミックス、ポリエチエンなどで出来た人工関節に入れ替える事で、疼痛が消失・緩和され短縮した下肢を1〜2cm程度長くする事が可能となります。

手術時間は、通常で2〜3時間程度となります。


イラスト:関節が痛い

注意点
長い年月を経過すると、関節部分の緩みが生じ、入れ替えの手術が必要な場合があります。(再置換術)

一般的には、20年を経過すると、約60%の対象者に緩みが生じ、約半数の対象者が再置換術を受けているのが現状です。

しかし、しかし、再置換術を受けても、1〜2ヶ月の入院及びリハビリテーションで元通りの生活に戻る事が可能です。

 

 

手術法
大腿骨頸部内側骨折や大腿骨頭が何らかの原因で壊死を起こした際に、大腿骨頭を切除し、金属あるいは、セラミックでできた骨頭を置換する手術です。

THAとは違い、臼蓋側は置換せず、対象者自身の軟骨と摺動(擦り合い)させます。対象者の年齢や骨の形状、質によって、骨セメントを用いる場合とセメントを使用せずに直接骨に固定する場合があります。

手術時間は、通常は1〜2時間程度となります。

イラスト:関節が痛い

 

注意点
BHAもTHA同様に、長い年月を経過すると、関節部分の緩みが生じ、入れ替えの手術が必要な場合があります。(再置換術)

一般的には、20年を経過すると、約60%の対象者に緩みが生じ、約半数の対象者が再置換術を受けているのが現状です。

しかし、しかし、再置換術を受けても、1〜1.5ヶ月の入院及びリハビリテーションで元通りの生活に戻る事が可能です。

スポンサードリンク

 

 

合併症


手術の合併症として、THA・BHA同様に「感染」「脱臼」「血栓症」などのリスクがあります。

生活の中で最も注意するべき事として、「脱臼」があります。

 

 

脱臼 及び 禁忌肢位


手術時の「メスの入れ方」によってそれぞれの禁忌肢位が変わってきます。

2000年前半までは、後方アプローチによる人工股関節置換術が主流でしたが、ここ数年で前方アプローチにおる人工股関節置換術の件数が急速に増加しています。

2015年のデーターでは、

 

前方アプローチが4割。

前外側アプローチが2割。

後方アプローチが4割。

 

となっています。

イラスト:一部修正 ヒューマン・アナトミー・アトランス

スポンサードリンク

 

前方アプローチ・前外側アプローチでは股関節を伸展・内転・外旋+複合運動をとった際に脱臼が生じます。

また、脱臼率としては、0.4%以下 となっています。

 

後方アプローチでは股関節を屈曲・内転・内旋をとった際に脱臼が生じます。

また、脱臼率としては、3〜6.5% となっています。

 

脱臼の症状として、下肢の脱力と強い疼痛が生じます。
下肢に強い疼痛を感じ脱臼を疑った場合はすぐに、救急車を要請し、整形外科のいる医療機関に搬送してもらう事をお勧めします。

 

 

 

日常生活で気をつける動作


先ほどもお話した様に、後方アプローチをした際に脱臼を発生させる動作は、

股関節屈曲・内転・内旋も複合動作または単独では股関節屈曲が多く、

日常生活では、

低い椅子への立ち座り動作

トイレ動作

しゃがみ込み動作

更衣動作

等で脱臼を発生させる事が多い状態です。

 

一方、前方アプローチでは、気をつける箇所として、

骨折側の足が後ろに沿って内側に入った状態

高い所の物を取る時や、電球などを取り替える時

など余計な力が入り脱臼肢位になる事が多いです。

 

 

 

骨折をしない為の予防法


高齢者の大腿骨頸部骨折と最も関与しているのが「骨粗鬆症」です。

骨粗鬆症は、骨自体がもろくなる状態で、老化が原因であったり、女性の場合は閉経によるものなどが原因で挙がります。

骨折をしない為にも、「骨粗鬆症」を予防する事が重要といえます。

 

予防法としては、「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版」よりエビデンスを含めた以下4つの予防法をお勧めします。

 

体重管理
低BMI者の骨折リスクは男女とも高く、体重が減少するとリスクは高くなる。
中高年には、適正体重の維持とやせの防止を推奨する。(グレードB)

 

栄養指導
栄養指導で知識は増加し、行動する事で予防指向となるので推奨される。(グレードB)
ちなみに、骨粗鬆症に良い食べ物として、「カルシウム・ビタミンD」を含んだ食べ物を摂取する事がお勧めされています。

 

カルシウムを多く含んだ食品

イラスト:農林水産

成人1人あたりが1日にとるカルシウムの目標量は600〜800mgとされています。

 

ビタミンDを多く含んだ食品

イラスト:日本人の食事摂取基準(2015年版)より

成人1人あたりが1日にとるビタミンDの目標量は5.5μgとされています。

 

運動
一般中高年者には、歩行やジョギング、ダンス・ジャンプなどの強い動的荷重運動は大腿骨近位部の骨密度を上昇する事が出来る。歩行などを中心とした運動の日常的実施を推奨する。(グレードB)

 

禁煙と禁酒
喫煙者と常習的飲酒者の骨折リスクは男女ともに高い。禁煙を始めない事と、飲酒はエタノール量で1日24g未満とする事を推奨する。(グレードB)

 

 

 

まとめ


大腿骨頸部骨折は、高齢者の運動疾患の中で割合が多い。

高齢者の大腿骨頸部骨折の場合、保存療法では長期の安静により、筋力低下・認知症・肺炎・褥瘡などを発症し、寝たきりになってしまう頻度が高い為、近年では「手術療法」を選択し、早期からリハビリテーションを行う事で機能的能力の改善を図っていく事が主流。

手術療法では、人工股関節置換術が代表的。手術療法の合併症に「脱臼」が生じます。メスの入れ方(アプローチ)によって、禁忌肢位があり理解し、生活の中で禁忌肢位に配慮した動作学習を行う必要がある。

スポンサードリンク