
上肢の関節の構造と働きについてまとめました。
復習などに活用してみて下さい。
目次
関節の種類
関節は大きくわけて
不動関節と可動関節(滑膜関節)
に分けられます。
また可動関節は運動する方向の数によって、
・1軸性
・2軸性
・多軸関節
に分類されています。
♦1軸性関節
1軸性関節
蝶番関節:指節間関節・肘関節など
螺旋関節:距腿関節・腕尺関節・膝関節など
車軸関節;上下橈尺関節・正中環軸関節など
♦2軸性関節
2軸性関節
顆状関節
:中手指節関節・環椎後頭関節・距骨下関節など楕円関節
:橈骨手根関節など鞍関節
:母指手根中手関節など
♦多軸関節
多軸関節
球関節
:肩関節・腕橈関節・股関節など
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肩関節
1)特徴
胸骨、鎖骨、肩甲骨、上腕骨の4つの骨で構成され、肩複合体とも呼ばれています。
2)関節構造
胸鎖関節・肩鎖関節・肩甲上腕関節・肩甲胸郭関節の4つの関節で構成されています。
a.胸鎖関節
胸鎖関節は鞍関節であり、鎖骨の内側端と胸骨および第一肋骨軟骨部を連結します。
鎖骨と胸骨の間には関節円板があり、衝撃を吸収する役割があります。また、前・後胸鎖靭帯、肋鎖靭帯、鎖骨間靭帯によって補強されています。
関節の動きは、挙上−下制・前傾−後傾・回旋の動きに関与します。
b.肩鎖関節
肩鎖関節は、平面関節であり肩甲帯と鎖骨を連結します。
関節面は狭く浅い為不安定であるが、関節円板と上・下肩鎖靭帯、鎖骨と烏口突起間にある烏口鎖骨靭帯によって安定性が補強されています。
関節の動きは、鎖骨に対して肩甲帯が動き、上方−下方回旋・外転−内転の動きに関与します。
c.肩甲上腕関節
肩甲上腕関節は、球関節であり上腕骨頭と肩甲骨関節窩を連結します。
関節窩は上腕骨頭よりも浅く小さいが、そこを囲む関節唇が深く大きくなっています。また回旋筋腱板と、上・中・下関節上腕靭帯、鳥口上腕靭帯によって補強されています。
関節の動きは、肩甲骨関節窩に対して、上腕骨頭が動き、屈曲−伸展・外転−内転・外旋−内旋の動きに関与します。
d.肩甲胸郭関節
肩甲胸郭関節は、肩甲骨と胸郭の直接的な接触はなく、運動学的に機能的関節と考えられています。
関節面は、肩甲骨の前面と胸郭の後面が接する面であり、主な役割としては、腕と体幹の運動範囲や肩甲上腕関節の運動を増大させます。
関節の動きは、胸郭に対して肩甲骨が動き、上方−下方回旋・外転−内転・挙上−下制の動きに関与します。
3)運動
肩甲帯の運動は
・挙上−下制
・上方−下方回旋
・内転−外転
・前傾−後傾
となります。
肩関節の運動は
・屈曲−伸展
・内転−外転
・水平屈曲−水平伸展
・内旋−外旋
・分回し運動
となります。
肩甲上腕リズム
「肩関節を挙上させる時に、肩甲上腕関節と肩甲胸郭関節の動く角度が2:1となる。」とされます。
①肩挙上0〜30°に対して肩甲骨の動きは、ほぼ見られない。
②肩挙上30〜90°に対して肩甲骨の動きは2:1になる。
→屈曲3°に対して上腕骨2°肩甲骨1°の動きになる。
③肩挙上90°以降に対して肩甲骨の動きは1:1になる。
→屈曲2°に対して上腕骨1°肩甲骨1°の動きになる。
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肘関節と前腕
1)特徴
肘関節は、上腕骨遠位部、橈骨と尺骨の近位部によって構成され、肩関節と同様に単一の関節ではなく、複合関節です。
肘の屈曲−伸展運動が十分に行える様に、前後面の関節包は比較的穏やかであるが、内外側は内転−外転方向の動きを抑えて安定性を保持する為に強固になっています。
2)関節構造
腕尺関節、腕橈関節、上橈尺関節の3つの関節で構成される複合関節です。
a.腕尺関節
腕尺関節は、上橈骨滑車と尺骨滑車切痕から成る蝶番関節で、滑車切痕の関節面は骨幹部に対して橈骨へ5〜10°傾斜しています。
内側側副靭帯は腕尺関節の連結を補強し、肘関節の屈曲−伸展運動に関与しています。
b.腕橈関節
腕橈関節は、前腕上腕骨小頭と、橈骨窩の間にある球関節です。
外側側副靭帯、橈骨側副靭帯は腕橈関節の連結を補強し、肘関節の屈曲−伸展運動、前腕の回内−回外運動に関与します。
c.上橈尺関節
上橈尺関節は、橈骨の関節環状面と尺骨の橈骨切痕が連結した車軸関節です。
側副靭帯や骨間膜などの結合組織によって指示されているほか、橈骨輪状靭帯が橈骨と尺骨を強靭に結合し、前腕の回内−回外運動に関与します。
d.下橈尺関節
下橈尺関節は、尺骨頭の関節環状面と橈骨の尺骨切痕が連結した車軸関節です。
関節の連結は、関節円板、掌側橈尺靭帯、背側橈尺靭帯、前腕骨間膜によって補強され、上橈尺関節とともに前腕の回内−回外運動に関与します。
3)運動
腕尺関節と腕橈関節の運動は
・屈曲−伸展
橈尺関節と下橈尺関節は
・回内−回外
となります。
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手関節
1)特徴
手関節は、8つの手根骨と前腕骨で構成されている複合関節です。
手関節の運動は、橈骨手根関節と手根中央関節によって構成され、掌屈−背屈、橈屈−尺屈、分回し運動に関与します。
2)関節構造
a.橈骨手根関節
橈骨手根関節は、橈骨遠位端の手根関節面、関節円板と手根骨(舟状骨・月状骨・三角骨)から構成される楕円関節です。(※尺骨と豆状骨は直接関節には含まれない)
関節包は薄く、背側・掌側橈骨手根靭帯で補強されます。
手根骨の近位関節面の凸面が橈骨の遠位関節面の凹面をすべる事で、掌屈−背屈、橈屈−尺屈の運動に関与します。
b.手根中央関節
手根中央関節は、手根骨の近位列と遠位列から成る顆状関節で、近位列は舟状骨、月状骨、三角骨から。
遠位列では、大菱形骨、小菱形骨、有頭骨、有鉤骨から構成されます。
相互に凸状と凹状を成しており、骨間・背側・掌側手根間靭帯、放射状手根靭帯から補強され、遠位手根骨列が近位手根骨列の関節面上をすべる事で、掌屈−背屈、橈屈−尺屈の運動に関与します。
3)運動
橈骨手根関節と手根中央関節の運動は
・掌屈−背屈
・橈屈−尺屈
・分回し
となります。
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手指
1)特徴
手指の関節は、19個の骨の集まりで構成されています。骨は単純な直系列だが、多様な把握運動を可能とします。
2)関節構造
a.中手間関節
中手間関節は、第2〜5指中手骨の底部間で相互の向きあう半関節です。
運動としては、僅かにずれる程度です。
b.手根中手関節
手根中手関節は、第2〜5指の中手骨底と手根骨遠位列で構成される鞍関節です。
背側・掌側手根中手靭帯、骨間靭帯によって補強されます。
第2指と第3指の関節には可動性がほとんど無いが、第4指と第5指の関節には若干の可動性があり、母指との対立運動に関与します。
母指は可動性が大きく、橈側外転−尺側内転、分回し運動、把持などに必要な対立運動が可能となります。
c.中手指節関節
中手指節関節は、第2〜5指の中手骨遠位端と基節骨近位端で構成される顆状関節です。
側副靭帯、深横中手靭帯、骨間筋や伸筋腱等によって補強されます。
運動としては、屈曲−伸展、外転−内転の運動が可能となります。
母指は可動性が小さく、屈曲−伸展運動が主で、外転−内転運動は僅かです。
d.指節間関節
指節間関節は、近位指節関節と遠位指節関節にわける事ができます。
近位指節関節
第2〜5指の基節骨と中指骨で構成されます。
遠位指節関節
第2〜5指の中指骨と末節骨で構成されます。
母指は、中節骨が無いため、IP関節のみとなっています。
また、関節包は緩く、側副靭帯によって補強されます。
3)運動
手指の関節は複雑な運動を可能とします。主としては、把握やつまみ動作です。
母指の各関節は他指の関節と比べ異なった構造となっており、対立運動や強力あるいは巧緻な把握を可能としています。
引用イラスト
今回、記事で使用したイラスト(一部改正)は以下のアプリから引用しています。
次回は、
を復習していきます。
本日も最後まで見て頂き有難う御座いました。
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