注意障害を理解する。〜症状・評価・エビデンスに基づいた介入〜
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管理人のYudai@yudai6363)です。

 

 

今回は、高次脳機能障害の中でよく生じる障害の一つ
解説をしていきたいと思います。

 

 

 

 

注意とは

 

日常生活の中で「注意」という言葉は、馴染み深い言葉だと思います。

 

まずは、注意とは何か?を解説します。

 

 

▶︎注意の働き

 

注意の働きは、部屋の照明を例えにするとわかりやすいです。

 

部屋の照明は部屋全体を、照らす事もスポットライトとして一部を照らす事も出来ます。

 

 

これと同様に、人間の注意の働きは、

・全体に注意を振り向ける。

・ある場所や物体などに集中的に振り向ける。

事が出来ます。

 

 

▶︎ボトムアップとトップダウン

 

注意機能には、ボトムアップ性とトップダウン性」の2種類に分ける事が出来ます。

 

 

▶︎▶︎ボトムアップ性の注意機能


ボトムアップ性の注意機能とは、複数の刺激の中で1つの刺激が周囲の刺激と異なる場合や、視覚刺激が急に出現した際に、その刺激に対して注意が惹きつけられる、といった機能です。

 

つまり、"視野の中に何か違う物が入ってきた時に働く注意機能"です。

 

 


例として、下のイラストを見てください。

 

「緑色」の図形に注意が向いているはずだと思います。

これが、ボトムアップ性の注意機能です。

 

 

 

▶︎▶︎トップダウン性の注意機能


トップダウン性の注意機能とは、選ぶべき物体について事前に知識を持っている場合に、能動的にバイアスをかける事によって目的とする刺激を選択する事が出来る機能となります。

 

つまり、"物体を見つけたり、違いを探すなど意識的に働かせる注意機能"です。

 

 


例として、下のイラストを見てください。





実際に、「問い」がなければ意識的に1つ1つの図形を見ないと思います。


しかし「問い」というバイアスをかける事によって、
1つ1つの図形に注目し見つける事が出来ます。

 

これが、トップダウン性の注意機能です。

 

 

 

 

注意障害とは


注意障害は多彩な症状を呈します。

 

例えば、、、

 

・物事に集中出来ない

・落ち着きがない

・物事を継続するのに促しが必要

・すぐに、注意が他のものに逸れてしまう

 

いった症状が生じます。

 

また、主な責任病巣として右半球損傷に認められています。

 

 

 

▶︎注意障害の分類


様々な研究者が、注意の特徴・分類をまとめています。

 

その中でも、Sohlbergらが提唱した分類が有名です。


注意とは、大きく分けて①維持②配分③選択の3つに分ける事が出来ます。

 

 

そして、それぞれが障害されると、


①維持→持続性注意障害


②配分→容量性注意障害


③選択→選択性注意障害

 

となります。

 

 


また、維持・配分・選択の3つが障害されると、全般性注意障害となります。

 

 

 

 

 

▶︎▶︎持続性注意障害

 

持続性注意とは、"選択した刺激に注意を向け続ける機能"です。

 

障害の症状として、

・車椅子を持続して漕げない。

・本を読んでも長続きしない。

・机上課題を連続して行うとミスが増える。

などの症状がみられます。

 

 

 

▶︎▶︎容量性注意障害

 

容量性注意とは、"複数の刺激に同時に注意を配る機能"です。

 


障害の症状として、

・自動車運転の際に、周囲に気を配る事が出来ない。

・同時に料理を何品か作る事が出来ない。

などの症状が見られます。

 

 

 

▶︎▶︎選択性注意障害

 

選択性注意とは、"多くの刺激から特定の刺激を選び集中する機能"です。

 


障害の症状として、

・人混みの中で知人を見分ける事が困難。

・並んでいる商品から希望のものを見つけられない。

などの症状がみられます。

 

 


その他にも、転換性注意という「切り替え」に必要な注意機能もあります。

 

 

 

▶︎▶︎転換性注意障害

 

転換性とは、"一定の刺激に注意を向けつつ、重要な刺激に注意を切り替える機能"です。

 


障害の症状として、

・1つの事に固着してしまい注意がうまく転換できない。

・転換性が亢進により、あちらこちらの刺激に気が散ってしまう。

などの症状がみられます。

 

 


また人によっては、両方のタイプが混在する事もあります。

 

 

 

 

注意と意識の関係

 

注意意識は、日常生活において大いに関係しています。

 

下記のイラストでは、注意と意識の関係性を示しています。

 

 

 

注意と意識の関係性は、

・無反応

・注意散漫

・注意集中

・意識狭窄

・注意拡散

に分類する事が出来ます。

 

 

 

▶︎無反応

 

睡眠・昏迷状態を指します。

 

外から反応性も乏しく、一時的に開眼しますが、すぐに閉眼する状態を指します。

 

 

 

▶︎注意散漫

 

外から無関係な刺激に対して容易に反応してしまい、注意が1つの事に絞れなくなる状態を指します。

 

注意散漫の状態だと、話も、行動も脱線しやすくなり、一貫性が無くなってしまいます。

 

 

 

▶︎注意集中

 

注意散漫時から徐々に覚醒水準が高くなると、注意が集中し正常になる状態を指します。

 

 

 

▶︎意識狭窄

 

激しい感情などにより、覚醒水準が上昇しすぎると1つの事に注意が集中しすぎて、他の事に意識が向けれない状態を指します。

 

 

 

▶︎注意拡散

 

意識狭窄時よりさらに覚醒水準が高くなると、全ての刺激に対して敏感になり注意が絞れなくなる状態を指します。

 

注意散漫も注意拡散もどちらも、集中が困難となりますが、注意拡散の方が感覚情報が溢れるように入ってきている為、"注意の転導"が急速に起こります。

 

 

 

 

注意とワーキングメモリーの関係

 

注意機能とワーキングメモリーは密度な関係を持っています。

 

ワーキングメモリーとは、「情報の一過性の保持と処理または操作を提供するシステム」と考えられています。

 

特徴として、ワーキングメモリーは、容量制約的な環境で働き、情報が時間制約の中で統合され、アクティブに保持された情報を柔軟に処理します。

 

処理に負荷がかかれば、保持に当てられる容量は削減され忘れてしまうという特徴をもちます。

 

 

ワーキングメモリーは、「視空間性スケッチパッド」音韻性ループ」から構成されています。

 

 

 

▶︎視空間性スケッチパッド

 

視覚イメージの保持や操作を担います。

 

要するに、"頭の中の視覚情報の記憶に注意を向ける事"です。

 

 

 

▶︎音韻性ループ

 

言語情報の系統的処理や保持に特殊化され音声的なリハーサルを頭の中で担います。

 

要するに、"頭の中の言語・聴覚情報の記憶に注意を向ける事"です。

 

 

 

 

注意障害の評価


注意障害における評価バッテリーは多数存在しています。

 

ここでは「代表的な評価」を述べていきます。

 

 

▶︎観察での注意評価

 

観察からどのような注意の問題が考えられるのかを整理し、そのうえで適した検査を選択していきます。

 

「日本語版RSA」を用いることで、観察での問題点から障害を抽出できます。

 

image:反応時間課題を用いた注意障害評価法の開発

 

 

 

▶︎机上での注意評価

 

十分な妥当性と信頼性のある標準化された評価として、「CAT:Clinical Assessment for Attention」を評価で用いられます。

 

構成として、7項目から成り立ちます。

 


image:標準注意検査(CAT)と標準意欲検査(CAS)の開発とその経過

 

 

 

 

エビデンスに基づいた介入

 

注意障害に対するリハビリテーションの介入として以下の事が述べられています。

 

 

▶︎注意障害に対して


注意障害に対して、コンピューターによる注意力訓練や紙上の数字を抹消するなどの課題訓練の手法は効果的であるとされていますが、日常生活までには般化しないといわれています。(グレードB)

引用:Evidence-based cognitive rehabilitation: Recommendations for clinical practice

 

 

▶︎環境調整

 

配慮する点として、作業時間を短縮する。休憩を取る。注意を逸らす様な周囲の聴覚的・視覚的外乱を排除する環境調整に配慮するべきといわれいています。(グレードC)

引用:National clinical guideline for stroke 

 

 

▶︎家族支援


脳卒中後の認知障害の有無や程度をスクリーニングし、その情報を家族に伝える事で、家族の介助負担度を軽減する事が出来るといわれています。(グレードB)

引用:Evaluation of cognitive assessment in stroke rehabilitation.

 

 

注意障害において、要素的訓練の効果が日常生活に般化するかは、肯定的な報告と否定的な報告があり、十分なアプローチ方法が得られていない状態です。

 

 

また、発症から直後は回復を示しますが、徐々に回復の速度が遅くなるのが現状です。

 

 

よって、介入するべき点として、

・本人に対して障害の理解及び代償手段方法の学習

・家族などに対し支援指導を行う事

が重要と考えます。

 

 

 

 

まとめ

高次脳機能障害における注意障害について述べさせて頂きました。

 

対象者の症状を観察及び机上検査から評価し、生活するうえでどの様な場面で障害が生じやすいか?問題点を抽出する必要があります。

 

また問題点に対して、要素的訓練を行いつつ、代償手段の獲得・家族支援等を行う介入が重要と考えます。

 

 

 

 

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