作業療法士必見!上肢運動麻痺に対してのミラーセラピー療法
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ミラーセラピーは、脳卒中後の上肢麻痺の回復に用いられるアプローチ法の1つです。

もともとは、上肢切断対象者の幻肢軽減の為に用いられたアプローチ法として報告されていました。

その後、脳卒中後の上肢麻痺に対する運動障害に応用され、"脳卒中対象者に対してミラーセラピーを行なった群では、6ヶ月後に運動機能の回復が有意に高い。"などの報告が多数あります。

今回の記事では、ミラーセラピーのメカニズムやアプローチ法を中心にまとめていきます。

 

 

 

ミラーセラピーとは

 

ミラーセラピーとは、ミラーボックスという箱の中に立てられた鏡に非麻痺側上肢の動きを映し、その動きを見て麻痺側上肢の筋運動感覚を生じさせるアプローチです。

要するに、非麻痺側の正常な運動を対象者に視覚入力する事で運動錯覚を与え、麻痺側上肢が正常な運動を行なっていると錯覚を与える事で運動機能の回復を図る事が目的です。

image:脳卒中片麻痺患者の手指運動機能障害に対するミラーセラピーの効果

 

また、Hatemらの報告によると、急性期〜慢性期の麻痺側上肢のリハビリテーション戦略において、ミラーセラピーを用いる介入が推奨されています。

image:Rehabilitation of Motor Function after Stroke: A Multiple Systematic Review Focused on Techniques to Stimulate Upper Extremity Recovery.より一部編集

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ミラーセラピーメカニズム

 

なぜ、ミラーセラピーを実施する事で、麻痺側上肢の機能は回復するのでしょうか?

ミラーセラピーを実施する上でメカニズムを理解する事はとても重要です。

メカニズムを理解する為のkey wordは、

・一次運動野

・一次体性感覚野

となります。

 

上肢の運動と感覚のコントロールは、「一次運動野と一次体性感覚野」で行います。

 

では、運動や感覚のコントロールにおいて健常者と麻痺対象者ではどの様な違いが生じるでしょうか?

 

 

・健常者が自ら手を動かした場合

 

①自ら手を動かした場合、運動時に遠心性コピーと呼ばれる運動命令が一次運動野から出されます。

その際に、自分の手を動かそうとした時に、「このくらい力が入れば、手はこのくらい動くだろう。」という予測値が生じます。

 

②そして、実際に手を動かし、「このくらいの力で手が動いた。」という結果が感覚情報として一次体性感覚野に戻されます。

また、この事を「再帰性求心性入力」と言います。

 

③そして脳内で「運動を予測する遠心性コピー」と「実際にどのくらい動いたかの結果(再帰性求心性入力)」のズレが照合されます。

 

④この照合されたズレに基づいて運動の再調節が行われます。

 

この「運動を予測する遠心性コピー」と「実際にどのくらい動いたかの結果(再帰性求心性入力)」の照合は、一次運動野と一次体性感覚野の間で行われ、運動を最適化したり、運動学習を行う上でとても重要な機能となります。

 

 

・麻痺した手を動かした場合

 

では、脳卒中後の上肢麻痺を呈した場合はどうなるでしょうか?

 

①まず、自分で麻痺手を動かそうと努力します。

 

②その際に麻痺が無い状態では、これくらい動くだろうという予測値が「遠心性コピー」として脳内に残されます。

 

③しかし麻痺によって、実際の手の運動は起こらず、運動の感覚情報である「再帰性求心性入力」は作られにくいです。

つまり、感覚情報が脳内にフィードバックされにくくなります。

 

④つまり運動を予測する遠心性コピー」と「実際にどのくらい動いたかの結果(再帰性求心性入力)」の照合が行われない事になります。

 

 

・運動錯覚の利用

 

先ほども述べた通り、ミラーセラピーは運動錯覚を利用して、脳の運動関連領域に働きかけて、麻痺側上肢の運動機能を改善させる方法です。

麻痺側上肢を隠し、健側上肢を鏡に映し動かす事で麻痺側上肢が正常に動いて見える様に錯覚します。

実際に脳内では、鏡に映された健側上肢を動かす事で、麻痺側上肢を動かす為の運動指示を脳内に出した時に、視覚から麻痺側上肢の運動が行われたとの感覚フィードバックが生じます。

つまり、「運動を予測する遠心性コピー」と「実際にどのくらい動いたかの結果(再帰性求心性入力)」の照合が行われます。

 

 

 

ミラーセラピーによる効果

 

ミラーセラピーを実施する事で以下の効果があるとの報告があります。

 

損傷側の皮質内抑制と半球抑制が修飾する。

麻痺側上肢の実際の筋活動を促す。

左右脳のコミュニケーションが増加させる事によって、損傷側の一次運動野内の皮質内抑制のバランスを向上する。

 

 

 

ミラーセラピーを用いたアプローチ

 

 

ミラーセラピー×CI療法

 

ミラーセラピーとCI療法の併用による研究結果では、

ミラーセラピーを実施後にCI療法を実施した群と、CI療法を単独で実施した群を比較したとところ、

ミラーセラピー(肩・肘・手首・手指に実施)後にCI療法を実施した群は、CI療法を単独で行なった群に比べ、上肢機能の有意な改善を認めたとの報告があります。

image:Effect of constraint-induced movement therapy and mirror therapy for patients with subacute stroke.

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ミラーセラピー×電気刺激療法

 

ミラーセラピーと併用して用いる1つとして、電気刺激療法があります。

重度の上肢麻痺を患っている対象者に対して、電気刺激に合わせて運動を行うと努力的な運動となり、痙性を高める事が多いです。

一方、ミラーセラピーは痙性は上がりにくいとされてますが、麻痺側上肢を動かしてる実感が乏しいとの反面があります。

そこで、重度上肢麻痺に対して、電気刺激療法とミラーセラピーを併用する事で、より自分の手が動いているとの運動錯覚が生じ、効率の良いアプローチが可能とされています。

引用)
脳卒中の上肢運動麻痺に対する筋電誘発電気刺激療法とミラーセラピーの組み合わせ治療の試み−シングルケーススタディによる検証−

脳卒中回復期におけるミラーセラピーとIVESの併用効果

 

電気刺激療法の詳細はこちらの記事をクリック!

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まとめ

 

ミラーセラピーとは、ミラーボックスという箱の中に立てられた鏡に非麻痺側上肢の動きを映し、その動きを見て麻痺側上肢の筋運動感覚を生じさせるアプローチです。

鏡を使用する事で、運動錯覚を利用して、脳の運動関連領域に働きかけて、麻痺側上肢の運動機能を改善させる方法です。

 

効果として、

損傷側の皮質内抑制と半球抑制が修飾する。
麻痺側上肢の実際の筋活動を促す。
左右脳のコミュニケーションが増加させる事によって、損傷側の一次運動野内の皮質内抑制のバランスを向上する。

といった報告があります。

ミラーセラピーを用いた介入として、電気刺激や、CI療法と併用して行うと効果的とされています。

 

本日も最後まで読んで頂きありがとうございました。

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