痙縮に対しての最新の治療方法〜振動刺激痙縮抑制法(DAVS)について〜
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今回の記事の内容は、

振動刺激痙縮抑制法
direct application of vibratory stimuli :DAVS

についてまとめていきます。

 

 

 

はじめに

 

脳卒中リハビリテーションの阻害因子である痙縮は、

上位運動ニューロンの病変により伸張反射が病的に亢進した状態

とされています。

 

特に、上肢に関しては比較的軽度な運動麻痺であっても、上肢を数回使用するだけで痙縮が生じ動作の質が低下します。

つまり、日常生活に繁華されず不使用になる事が多々あります。

 

痙縮に対しての一般的な介入として、

・関節可動域練習
・ストレッチ
・温熱療法etc・・・

などが勧められています。

 

しかし介入の多くに時間を要してしまいます。

 

ここ近年、痙縮に対しての介入手法で

振動刺激痙縮抑制法:DAVS

という手法が注目されています。

 

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従来の振動刺激とは

 

振動刺激を100〜200㎐の周波数で骨格筋に与えると、筋紡錘のⅠαの求心性興奮から非刺激筋に反射性の収縮が生じ、同時に拮抗筋に相反支配による抑制効果が生じる※¹緊張性振動反射(TVR)が報告されています。

 

また、同時に※²H反射を用いた検討で振動刺激中には腱反射や伸張反射などの単シナプス反射が抑制される事が報告されています。

 

従来までは、緊張性振動反射に代表されるように痙縮抑制効果を目的に振動刺激を用いる場合、

抑制したい痙縮筋の拮抗筋に振動を与え相反抑制による抑制法

が用いられていました。

 

しかし、痙縮抑制効果は振動周波数や振幅により効果が異なる点や未解明な部分が多く、
"臨床で振動刺激を利用する事は少ない"
との報告がされています。

 

※¹緊張性振動反射(TVR)

緊張性振動反射とは、振動刺激を受けた筋肉の反射による持続的な収縮とされている。
引用):筋緊張性振動反射の臨床的検討(脳と神経の研究−9ー自律神経をめぐって(特集)

 

※²H反射

H反射=単シナプス反射=伸張反射 となっています。

痙縮は伸張反射が亢進した状態とされ、常に筋が緊張している状態を指している。
引用):健常者におけるヒラメ筋のH波,F波出現様式

 

痙縮に対しての詳細は、画像をクリック!

痙縮に対してのリハビリテーション
〜メカニズムを理解する〜

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振動刺激痙縮抑制法とは

 

従来までの振動刺激は、抑制したい痙縮筋の拮抗筋に振動を与える事が主流でしたが、効果は振動周波数や振幅により効果が異なる点や未解明な部分が多いのが現状です。

 

近年では振動刺激を用いた新たな筋緊張の抑制方法

振動刺激痙縮抑制法(DAVS)

がアプローチに有効性があるとされています。

 

 

1)振動刺激痙縮抑制法メカニズム

 

メカニズムとして、
"緊張性振動反射が関与している"
とされています。

振動刺激により、上位中枢の変化、または筋紡錘から脊髄前角細胞までの神経路の変化の影響を受け、二次的に脊髄前角細胞の興奮性が低下するとされています。

また、研究によると※³F波の平均幅は振動刺激直後から約30分間まで低下を示しており、脊髄前角細胞の興奮性の低下を認めています。


引用):最新のリハビリテーション−痙縮のマネジメント−

 

この事から、

振動刺激痙縮抑制法は筋緊張の抑制効果がある

事が報告されています。

 

※³F波

F波は脊髄前角細胞の興奮性の指標として用いられている。
引用):F波とは:生理学的機序と脊髄興奮性

 

 

2)振動刺激痙縮抑制法使用方法

 

まずは、痙縮筋に対して振動刺激(周波数91㎐)を与えます。

刺激開始当初は、緊張性振動性反射によって筋が強い収縮を示しますが、

数分の刺激を継続すると、刺激前に比べて明らかに筋緊張の低下を認めます。

おおよその目安として、1つの痙縮筋に対して5分間の振動を与えると効果があるとされています。

image:最新のリハビリテーション−痙縮のマネジメント−

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3)振動刺激痙縮抑制法効果

 

文献をもとに振動刺激痙縮抑制法の効果を述べていきます。

 

参考文献:

最新のリハビリテーション−痙縮のマネジメント−

 

対象:
脳卒中片麻痺対象者11名。
(年齢67±8歳,羅病期間11.4±2.7週,BRS上肢・手指Ⅴ以上)

方法:
振動刺激(周波数91㎐,振幅1mm)を使用し5分間実施した。

アプローチ:
肘関節伸展位、手関節背屈位、手指伸展固定位に固定。
上肢屈筋群全てを1度に刺激した。

評価:
振動刺激前後の評価をした後、5分毎に30分後まで手指屈筋群のMASの評価を行なった。

結果:
振動刺激後手指屈筋群のMASは、ほぼ0となり痙縮は有意に改善された。
また、効果持続時間は手指屈筋群のMASは振動刺激直後から20分後まで有意に低下していたが、その後の効果が減弱した。

 

との報告があります。

 

 

 

筋緊張の抑制以外効果

 

振動刺激痙縮抑制法は、筋緊張の抑制以外にも

運動失調の軽減

に効果があるとされています。

 

実際に、Kautらの報告では、

脊髄性小脳変性症の対象がもつ脊髄小脳性の失調に対して、通常の練習に低頻度の振動刺激(6.5㎐)を併用した群と、偽振動(1㎐)を併用した群を比較したところ、振動刺激を実施した群では、運動失調の軽減を示すSARA失調評価で、偽振動刺激を与えた群よりも有意に改善した。

との結果が出ています。

引用):a randomized pilot study of stochastic vibration therapy in spinocerebellar ataxia

 

 

 

まとめ

 

今回、振動刺激痙縮抑制法(DAVS)についてまとめました。

振動刺激痙縮抑制法は、脳卒中対象者の痙縮の抑制に効果的な成果を出します。

効果は永久的ではなく、効果時間は20分程度です。

また、痙縮の抑制以外にも運動失調の軽減にも効果的とされています。

 

本日も最後まで読んで頂き有難うございます。

 

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