肩関節疾患に多い肩峰下インピンジメントについて
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本日もブログを読んで頂き有難うございます。

今回は、「肩峰下インピンジメント

についてまとめていきます。

 

 

 

はじめに


肩関節は、人間の関節の中で最大の関節可動域を有しています。

また、構造上において骨性の支持性が少なく、関節包、靭帯、筋から構成されています。

その為、極めて不安定な関節とされており、肩関節に痛みが生じやすいです。

その中でも、最も多い肩関節疾患肩峰下インピンジメント となっています。

 

 

 

肩峰下インピンジメントとは


肩峰下インピンジメントとは、
鳥口肩峰アーチ・肩峰下滑液包・※¹腱板との間で生じる衝突現象です。

※¹腱板
腱板とは、棘上筋棘下筋小円筋肩甲下筋から構成されています。

 

イラストを見てわかる通り、腱板(棘上筋)と肩峰との間に肩峰下滑液包という軟部組織があり、肩峰下滑液包が、腱板の動きをスムーズにしています。

しかし、機能低下や姿勢不良の状態で肩を動かすと、歪みが生じ肩峰下滑液包に炎症が起き、腱板との滑走面が肥厚します。

肥厚した肩峰下滑液包が肩を挙上する際に上腕骨と挟み込まれ、肩の痛みが生じます。

 

 

 

肩峰下インピンジメントの特徴


肩峰下インピンジメントの特徴として、
主に肩関節の挙上運動時に生じる痛みです。

痛みの部分として、肩峰下から上腕近部にかけて生じます。

肩挙上60°〜120°の範囲で痛みが生じ、挙上120°過ぎると痛みが消失するのが特徴です。

特に、屈曲、外転ともに90°で肩峰下での軟部組織の接触圧が最大となる為、この角度付近で痛みが誘発されやすいです。

 

また、接触する部位に関しては各方向への動きに対して、それぞれ異なります。

 

・屈曲
小結節が鳥口肩峰アーチに接触

・外転
大結節が鳥口肩峰アーチに接触

・外旋位にて挙上
棘上筋・肩甲下筋・上腕二頭筋長頭が鳥口肩峰アーチに接触

・内旋位にて挙上
棘上筋・棘下筋が鳥口肩峰アーチに接触

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肩峰下インピンジメントの原因


肩峰下インピンジメントが生じる原因として、

1)関節構造の異常

2)関節運動の異常

に分ける事が出来ます。

 

 

1)関節構造の異常

関節構造因子として、肩峰の形態や骨棘の存在腱板や肩峰下滑液包の肥厚などが挙げられます。

これらの要因によって、肩峰腔が狭小化し軟部組織が接触しやすくなります。

この様な場合は、外科的治療の適応となります。

 

 

2)関節運動の異常

関節運動因子として、関節包の拘縮や腱板機能の低下が挙げられます。

これらの機能低下は、上腕骨頭の異常運動を引き起こし、肩峰下インピンジメントを引き起こす要因となります。

この様な場合は、運動療法によって改善が可能とされています。

 

 

①関節包の拘縮

肩甲上腕関節における安定性は、

関節包・関節上腕靭帯・関節唇などの静的安定化機能

腱板・上腕二頭筋長頭腱による動的安定化機能に分かれています。

なかでも各運動方向の最終可動域においては、

関節包・肩甲上腕靭帯が緊張する事で骨頭の求心力を高めつつ、関節を安定化している役割

があります。

 

一方で、関節包・関節上腕靭帯に局所的な拘縮が生じると、

最終可動域に達する前にこれらが、過度に緊張する為、可動域制限と共に、骨頭を反対側に変位する力が強く作用する

事になります。


参考文献:
肩甲上腕関節の拘縮からみた 肩関節インピンジメント症候群に対する運動療法ーその評価と治療のコツー

 

したがって、肩後方関節包・後下関節上腕靭帯の伸張性が低下した場合、

屈曲時に骨頭の前上方変位が生じる事で、肩峰下接触圧が高まり、インピンジメントを惹き起こす原因

となります。

 

 

②腱板機能の低下

腱板機能が低下し、他の関節周囲筋とのバランス不良をきたす事で上腕骨頭の異常運動を引き起こすとされています。

具体的には、

肩関節の挙上や、内外旋運動時に上腕骨頭の下方変位に作用する、棘上筋や肩甲下筋の活動が低下します。

その為、上方変位に作用する、三角筋や上腕二頭筋短頭、鳥口腕筋、上腕三頭筋の活動が増加する事により、上腕骨の上方変位が引き起こされます。

 

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肩峰下インピンジメントの評価


肩峰下インピンジメントの代表的な評価として

・Neer Test

・Hawkins Test

があります。

 

 

Neer Test


肩甲骨を抑えた状態で肩を挙上させ、痛みを誘発するテスト
です。

痛みが生じたら陽性と判断します。


image:EMでアカデミックライフ

 

 

Hawkins Test


肩甲骨を固定させ肩関節3rdにて、内旋した際に痛みを誘発するテスト
です。

痛みが生じたら陽性と判断します。


image:EMでアカデミックライフ

 

 

 

肩峰下インピンジメントのアプローチ


肩峰下インピンジメントに対してのアプローチとして、痛みの発生原因によって異なります。

 

基本的に、

1)関節構造が原因である場合

2)関節運動子が原因である場合

にわけ、それぞれのアプローチを行っていきます。

 

 

1)関節構造の異常に対して

①非ステロイド性鎮痛消炎剤

まずは非ステロイド性鎮痛消炎剤の内服が一般的とされています。

 

非ステロイド性消炎鎮痛剤についての詳細は、

疼痛.jp-薬物療法-

を参照して下さい。

 

 

②副腎皮質ステロイドの注入

非ステロイド性鎮痛消炎剤の効果が無い場合には、肩峰下滑液包内に副腎皮質ステロイドを注入します。

 

副腎皮質ステロイドについての詳細は、

くすりのしおり

を参照して下さい。

 

 

③外科的手術

副腎皮質ステロイドの注入を繰り返しても症状が変わらない場合には、外科的手術を行うとされています。

近年では、鏡視下で行う事が多い、

鏡視下肩峰形成術

という方法で行っていきます。

 

鏡視下肩峰形成術についての詳細は、

鏡視下肩峰下除圧術/鏡視下肩峰形成術

を参照して下さい。

 

 

 

2)関節運動の異常に対して


先ほども述べた様に、機能的因子として、

①関節包の拘縮

②腱板機能の低下

が挙がります。

これらに対してのアプローチは

運動療法

にて改善できるとされています。

 

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①拘縮に対してのストレッチング

関節包後方の拘縮に対してのアプローチとして、ストレッチングROM-exが推奨されています。

ここでは、セルフストレッチを紹介します。

・Sleeper stretch

方法:
患側上肢を下にした状態で側臥位をとり、肩関節90°外転位、肘関節90°屈曲位を開始肢位とします。そこから健側で患側の前腕を恥し、内旋方向に伸張を加えます。

 

・Cross-body stretch

方法:
患側上肢を水平内転位として、健側上肢で患側上腕遠位部を把持し、水平内転方向へもっていきます。

 

 

②腱板機能低下に対しての筋力増強訓練

腱板機能低下に対してのアプローチとして、等尺性収縮を用いた筋力増強訓練があります。

ここでは、実際に自主練習などで実施可能な筋力状況練習を紹介します。

・内旋運動

目的:
・上腕骨頭の変位を抑制して内旋運動を可能とします。
肩甲下筋の収縮を高めます。

方法:
①背臥位にて前腕と腹部の間にボールを挟み、肩関節を肩甲骨面挙上30°・軽度内旋位とします。
②肩関節を内旋しながらボールを軽く押します。(2秒〜5秒)

注意:
・負荷時は、痛みの評価VAS5/10まで

 

・外旋運動

目的:
・上腕骨頭の変位を抑制して外旋運動を可能とします。
棘下筋小円筋の収縮を高めます。

方法:
①背臥位にてチューブを両手で把持し、患側を肩関節を肩甲骨面挙上30°・内外旋中間位とします。
②肩関節を外旋しながらチューブを引き、最終可動域で保持します。(2秒〜5秒)

注意:
負荷時は、痛みの評価VAS5/10まで

 

・挙上運動(屈曲)

目的:
・上腕骨頭の変位を抑制して上肢の挙上を可能とします。
棘上筋の収縮を高めます。

方法:
①背臥位にてチューブを両手で把持し、患側を肩関節屈曲90°を開始肢位とします。
②肩関節を屈曲しながらチューブを引き、最終可動域で保持します。(2秒〜5秒)

注意:
負荷時は、痛みの評価VAS5/10まで

 

・挙上運動(外転)

目的:
・上腕骨頭の変位を抑制して上肢の挙上を可能とします。
棘上筋の収縮を高めます。

方法:
①背臥位にて臀部の元に固定したチューブを把持し、軽度外転位とします。
②肩関節を外転しながらチューブを引き、最終可動域で保持します。(2秒〜5秒)

注意:
負荷時は、痛みの評価VAS5/10まで

 

 

 

まとめ


今回、肩峰下インピンジエントの基礎から原因、評価・介入についてまとめました。

今後、肩関節疾患の中で必ず診る疾患だと思います。

肩峰下インピンジメントを惹き起こす対象者に対して痛みを評価して、適切なリハビリテーションを提供していきたいところです。

本日も最後まで読んで頂き有難うございました。

 

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