
今回は、運動制御の1つである
解説をしていきたいと思います。
PT、OTの方々は、「運動制御」という言葉を一度は聞いた事があると思います。
運動制御とは、「運動する為に必要な様々な機構を調整する能力」です。
また、運動制御には、
・手指の遠位筋を用いる巧緻運動。(外側運動制御)
・体幹や上下肢の近位筋による歩行や姿勢制御(内側運動制御)
の2つに分ける事が出来ます。
↓内側運動制御については、こちらの記事を参照。↓
外側運動制御とは
外側運動制御は、脊髄の背側索を下行する神経路です。

外側運動制御の機能は、
・四肢の遠位筋の制御
などに関与します。
外側運動制御は、以下の神経路になります。
・外側皮質脊髄路
・赤核脊髄路
で構成されています。
▶︎外側皮質脊髄路
外側皮質脊髄路とは、一次運動野(4野)と補足運動野・運動前野(6野)に起始する皮質脊髄路の約90%が錐体交叉を通過して、対側の背側索を下行する経路の事です。
外側皮質脊髄路の機能として、
・手や指先などの正確さを要求する随意的な巧緻動作を担う
とされています。
▶︎▶︎血管支配領域
外側皮質脊髄路の血管支配は、前大脳動脈と中大脳動脈から成り立っています。
image)脳血管支配(前・中・後大脳、脳底・椎骨、内頸動脈)の役割と機能障害!
このイラストから見てわかる様に、
・前大脳動脈は下肢
・中大脳動脈は顔面・上肢
を支配しています。
・前大脳動脈:下肢を支配
→損傷されると、下肢優位の麻痺が出現
・中大脳動動:顔面・上肢を支配
→損傷されると、顔面・上肢優位の麻痺が出現
▶︎▶︎損傷されると
運動麻痺は脳血管障害による「外側皮質脊髄路の損傷」に伴う症例が多いとされており、特に基底核や間脳などの周辺領域に発生する確率が高いとされています。
外側皮質脊髄路が脳梗塞や脳出血などで損傷されると、損傷された部位の対側の手足に運動麻痺が出現し、手足の巧緻な動作が行えなくなります。
▶︎▶︎外側皮質脊髄路と皮質網様体脊髄路の関連
Yooらの報告では、拡散テンソル画像を用いて脳出血の頻度の高い被殻出血を生じた症例の「外側皮質脊髄路」と「皮質網様体脊髄路」の損傷程度を調査した。
その結果、被殻出血のうち「外側皮質脊髄路のみ」損傷する症例は稀であり、多くの場合は「外側皮質脊髄路」と「皮質網様体脊髄路」の両方を損傷している、との報告があります。
よって、「外側皮質脊髄路が損傷されると、皮質網様体脊髄路も障害されている可能性が高い」と考えられます。
▶︎▶︎▶︎歩行との関連性
先ほどのYooらの研究の続きで「歩行能力との関連性」も調べています。
●対象者
被殻出血対象者57名を対象に、皮質網様体脊髄路と、外側皮質脊髄路の損傷を拡散テンソル画像を用いて測定し、損傷状態に合わせて4つのグループに分類した。
GroupA:
皮質網様体脊髄路、外側皮質脊髄路ともに損傷なし
GroupB:
外側皮質脊髄路のみ損傷、皮質網様体脊髄路は損傷なし
GroupC:
外側皮質脊髄路は損傷なし、皮質網様体脊髄路のみ損傷
GroupD:
外側皮質脊髄路、皮質網様体脊髄路ともに損傷
image)Yoo JS, 2014より引用
●結果
GroupA:
歩行能力の低下なし
GroupB:
歩行能力の軽度の低下
GroupC:
歩行能力の中等度の低下
GroupD:
歩行能力の著しい低下
この結果から、外側皮質脊髄路と皮質網様体脊髄路の両方が障害されると、外側皮質脊髄路は四肢の随意性を制御し、皮質網様体脊髄路は体幹などの近位部の随意性を制御する為、歩行能力が著しく低下すると考えられています。
詳しくは、Yooらの文献を載せておくのでこちらから参照して下さい。
▶︎赤核脊髄路
赤核脊髄路とは、外側皮質脊髄路の一部の神経路は、中脳レベルにおいて赤核に投射し、赤核脊髄路として背側索を下行する神経路の事です。
赤核脊髄路の機能として、
・四肢の遠位筋に関与
・関節の屈曲運動を引き起こす屈筋に作用
とされています。
まとめ
今回、外側運動制御についてまとめました。
最後まで、閲覧して頂き有難うございます。
もし良かったら、Instagram・Twitterのフォローをお願いします。
※ウェブページの見出しから、各リンクへのアクセス可能となっています。