リハビリテーションと栄養の関係性を理解する〜サルコペニアを中心に〜
Pocket

リハビリテーションを行なっている対象者は

「栄養障害やサルコペニア」

を認める事は多いとされています。

若林らが行なった研究1)によると、

施設別に低栄養の高齢者の割合を調査した結果、病院よりもリハ施設の方が低栄養の割合が高かった。

との報告があります。

 

療法士は、栄養状態を意識して介入していますか?

 

 

今回の記事では、

 

サルコペニアを中心に

「リハビリテーションと栄養の関連性

 

についてまとめていきます。

 

 

 

低栄養を認める疾患

ハビリの対象疾患で低栄養を認める事が多いのは、

・脳血管障害

・大腿骨近位部骨折

・廃用症候群

・パーキンソン病

・関節リウマチ

・慢性心不全

・慢性閉塞性肺疾患

・癌  など…

これらの疾患に対して、不適切な栄養管理の下で、筋力低下・耐久性の低下を問題点に挙げ、
レジスタンストレーニングや筋力増強訓練などの積極的な機能訓練を1日に数時間実施すると、
更に低栄養や、筋力・持久力の低下が進行し、最悪、餓死に繋がる可能性があります。
そうならない様に、
療法士は「リハ栄養」の知識を身につける必要性
があります。

 

 

 

リハ栄養とは

リハ栄養の概念
リハ栄養とは、栄養状態を含めて国際生活機能分類(ICF)で評価を行なったうえで、適切な予後予測のもとでリハと栄養管理を実践する事。
ICFの心身機能の中に栄養関連の項目が含まれています。
○ICFの栄養関連項目2)
養障害を認める対象者では、リハと栄養管理を併用するリハ栄養管理で、対象者の機能・形態障害・活動制限・参加制約を最大限に改善出来る様にサポートし、ADLやQOLの向上を図っていきます。
"低栄養で不適切な栄養管理下の対象者が多く、これらを配慮した、機能評価・予後予測・リハプランの立案を行う事が必要"です。

リハ栄養のスクリーニング

リハ栄養のスクリーニングは、

「MANA®️のShort Form」

を用いて評価できます。
(65歳以上の高齢者の栄養スクリーニング)

 

○MANA®️−SFの評価用紙3)

♥スクリーニング値
・12〜14pt:栄養状態良好
・8〜11pt:低栄養の恐れ
・0〜7pt:低栄養
で判定する。

 

♣注意点
・MANA®️−SFは、65歳以上に用いられる評価
・著明な浮腫を認める対象者は、実際の栄養状態よりも高くなる可能性がある。
→この場合は、血清アルブミン値が3.0以下であれば低栄養と判定する。

 

 

リハ栄養のアセスメント

MANA®️−SFのスクリーニング値が7点以下、また血清アルブミン値が3.0以下であれば、「低栄養」とみなしリハ栄養のアセスメントを行う必要性があります。

 

アセスメントのPointとして、
「低栄養、サルコペニア、摂食嚥下障害の有無や原因、現在の栄養状態と予後予測、機能改善を目的としたリハビリが可能かどうか」
を評価していきます。4

 

スポンサードリンク


 

サルコペニアとは

 

サルコペニアの定義
狭義では、加齢による筋力量の減少。
広義では、全ての原因による筋力量減少、筋力量低下、身体機能の低下。
狭義の加齢によるサルコペニアは、加齢に伴う筋肉量の低下であり、筋肉量のピークを20歳代後半から30歳代前半として、徐々に筋肉量が減少し、80歳頃にはピーク時の5〜7割程度の筋肉量となります。
広義のサルコペニアの原因には、
加齢以外に活動栄養疾患があり、高齢者でリハビリを行う対象者は広義のサルコペニアを考える必要があります。
活動に関連したサルコペニアは、
ベッド上安静、無重力、絶飲食などで生じます。
廃用症候群による廃用性筋萎縮性は、活動に関連したサルコペニアに含まれます。
栄養に関連したサルコペニアは、
エネルギーと蛋白質の摂取量不足にて生じます。つまり、飢餓による筋肉量と筋力量の低下になります。
疾患に関連したサルコペニアは、
侵襲、悪質液、原疾患によって生じます。
サルコペニアへの対応はリハ栄養そのものであり、原因によって介入方法が異なります。
その為、全ての原因について評価する必要があります。

加齢を伴うサルコペニア

加齢を伴うサルコペニアは、加齢による影響のみで、活動・栄養・疾患の影響は認められません。

 

加齢を伴うサルコペニアの対策としては、

・レジスタンストレーニング

・蛋白質やアミノ酸の摂取

・禁煙指導

・薬物療法

などが含まれます。

 

レジスタンストレーニング
レジスタンストレーニングとは、筋に負荷をかけたトレーニングの事を指します。
目的は、筋力を向上させる事で、持久力や筋パワーを向上させます。
蛋白質とアミノ酸を多く含む食べ物
蛋白質とは、アミノ酸が多数結合した高分子化合物であり、筋や臓器など身体を構成する要素として非常に重要なものです。
蛋白質とアミノ酸を多く含む食べ物として、肉類、魚介類、乳製品、卵、豆類、穀類などの食べ物に多く含まれています。

 

 

活動に関連したサルコペニア

活動に関連したサルコペニアは、

低活動、廃用症候群、無重力などが原因となります。

 

活動に関連したサルコペニアの対策としては、

・早期離床

・運動

・容易な安静や絶飲食の防止

などが重要です。

 

 

栄養に関連したサルコペニア

栄養に関連したサルコペニアは、

飢餓、エネルギー摂取不足が原因となります。

 

栄養に関連したサルコペニアの対策として、

適切な栄養管理に基づき栄養管理を行う事が重要

とされています。

 


飢餓

飢餓では、蛋白質やアミノ酸が不足している為、飢餓の時にレジスタンストレーニングを行なっても、筋の蛋白質をさらに分解させる為、レジスタンストレーニングは禁忌となります。

この場合は、
適切な栄養管理を行えば体重や筋肉量は増加します。

スポンサードリンク


 

疾患に関連したサルコペニア


侵襲

侵襲とは、生体の内部環境の恒常性を乱す可能性がある刺激です。

具体的には、手術、外傷、骨折、感染症、熱傷などがあります。

侵襲の目安として、急性の発熱やC反応性蛋白(CRP)の上昇となります。

高度の侵襲では、1日1kgの筋肉量が減少します。レジスタンストレーニングを行なっても、筋の蛋白質は更に分解される為、レジスタンストレーニングは禁忌となります。

 

 


悪液質

悪液質の原因疾患には、

感染症(結核、後天性免疫不全症候群など)関節リウマチ慢性心不全慢性腎不全慢性閉塞性肺疾患肝不全など

があります。

 

悪液質の場合、
飢餓とは異なり適切なエネルギー摂取量を投与するだけでは、栄養改善は難しい

とされています。

 

その為、飢餓と悪液質の鑑別が重要となります。

 

前悪液質と悪液質の診断基準から引用

 

 

 

疾患別のリハ栄養とは

リハビリの対象疾患で低栄養を認める事が多い

代表的疾患として、

・脳血管障害

・大腿骨近位部骨折

・廃用症候群

が挙げられます。

スポンサードリンク


 

脳血管障害

脳血管障害の対象者では、8〜49%に何らかの栄養障害を認めている。とされています。

栄養ケアを考慮せず、積極的なリハビリを行う事で、意図せぬ消費エネルギーの更新により、対象者の栄養状態が更に悪化する可能性があります。

 

また、

BMIが18.5kg/m以下の低体重の対象者はFIMの改善効果が最も低い

とされています。

BMIの求め方

BMI(kg/m2):体重kg÷身長m

BMI:25.0以上→肥満

BMI:18.5〜25.0→普通

BMI:18.5以下→低栄養

 

脳血管疾患患者におけるリハビリテーション栄養診療ガイドライン6)が推奨しているリハ栄養として、

強化型栄養療法を行う事を推奨しています。

 

強化型栄養療法とは
病院食の提供などで標準的な栄養ケア、また在宅・施設での日常的な食事摂取に加えて、対象者個別の栄養アセスメントに基づく栄養指導、栄養カウンセリング、経口補助食品の提供および静脈・経腸栄養を実施する事。

 

 

大腿骨近位部骨折

大腿骨近位部骨折は、高齢者の運動器リハを要する疾患で最も頻発するとされています。

また、腿骨近位部骨折における低栄養やサルコペニアの頻度も高いとされています。

 

吉村らの7)研究によると、

BMIの評価では13%に低栄養を認め、

MANA®️−SFでは27%

血中アルブミン値では53%に低栄養を認めています。

 

血中アルブミン値の標準

血中アルブミン値4.0g/dl以上→正常

血中アルブミン値3.5〜3.9g/dl→低栄養予備軍

血中アルブミン値3.5g/dl未満→低栄養

 

大腿骨近位部骨折患者におけるリハビリテーション栄養診療ガイドライン8)が推奨しているリハ栄養として、

ADLおよび筋力の改善を目的として、術後早期からリハビリテーションと併用して強化型栄養療法を行う事を推薦しています。

 

 

廃用症候群

廃用症候群とは、疾患などの為に活動性や運動量の低下した安静状態が続く事で、全身の臓器に生じる二次的障害の総称です。

 

原因として、誤嚥性肺炎や人工呼吸管理、集中治療管理を要する多発性外傷や手術後などの高度の侵襲が生じる疾患が多いとされています。

 

また廃用症候群では、栄養とサルコペニアの頻度が高いです。

 

高齢者では、軽度の侵襲や短期間の臥床においても廃用症候群となりやすい為、不要な安静時臥床や絶飲食を避け、早期離床と経口摂取が薦められています。

 

 

 

まとめ

今回、リハビリテーションと栄養の関係性についてまとめました。

高齢者の多くは低栄養であり、リハビリを提供する際は、対象者の栄養状態を把握する必要があります。

ただ単に、筋力や耐久性が低下しているから、レジスタンストレーニングを行う介入は、蛋白質が消費され筋力が余計に減少する危険性があります。

その為、低栄養の原因が何であるかを評価し、原因に沿った介入をする必要があると思います。

また、対象者の栄養状態を常に把握する為にも、栄養士と深く関わる事が大切だと感じます。

 

本日も最後まで読んで頂き本当に有難うございました。

この情報が今後の一助になって頂ければ幸いです

 

スポンサードリンク


 

引用文献

1)5)リハビリテーションと臨床栄養

2)リハビリテーションと栄養管理(総論)

3)Nestle’ Nutrition Institute

4)低栄養とリハビリテーション栄養管理の考え方−特にエネルギー必要量に関して−

6)脳血管疾患患者におけるリハビリテーション栄養診療ガイドライン

7)回復期のリハビリテーション栄養管理

8)大腿骨近位部骨折患者におけるリハビリテーション栄養診療ガイドライン