
リハビリテーションで肩関節疾患の介入において苦渋するケースは多くみられます。
理由として、
・肩関節は各関節の中で自由度が高く、関節の中で最大の関節可動域を有している。
・構造上において骨性の支持性が少なく、関節包、靭帯、筋から構成されている事から不安定な関節である。
などの事が挙げられます。
特に肩関節疾患の制限因子は、筋だけでは無く関節包や靭帯が原因している事も考えられます。
その為、肩関節疾患に対してのリハビリテーションでは、関節包や靭帯を理解する必要があります。
今回の記事では、
関節包や靭帯に対して重点的に解説
していきます。
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目次
肩関節の代表的な疾患
肩関節の代表的な疾患として、
・インピンジメント症候群
・肩関節周囲炎
・腱板断裂(損傷)
・肩関節不安定症
・肩甲骨の異常運動
などが挙がります。
疾患ごとに障害メカニズムや症状は異なりますが、肩関節疾患で共通しているのが「肩関節に可動域制限が生じる可能性がある。」との事です。
肩関節の可動域を制限する要因
肩関節の可動域を制限している代表的な要因として、
・関節包、靭帯の拘縮
・回旋筋腱板の筋力低下
・表層筋の筋力低下
・上腕骨頭と関節窩の位置関係の障害
・肩甲胸郭関節の安定性の低下
があります。
肩関節包、靭帯の拘縮
肩関節包、靭帯の拘縮とは、
「関節上腕靭帯を含む関節包の肥厚、伸張性の低下、癒着」
とされています。
関節包・靭帯に拘縮が生じると、
「最終可動域に達する前に過度に緊張し、可動域制限と共に骨頭を反対側に変位する力が強く作用する」
事になります。
また、関節包、靭帯は運動方向に対して以下のように伸張されます。
肩関節屈曲・伸展の伸張部位
屈曲では、後下方関節包
伸展では、前方関節包
が伸張されます。
肩関節外転・内転の伸張部位
外転では、下方関節包
内転では、上方関節包
が伸張されます。
水平屈曲・水平伸展の伸張部位
水平屈曲では、後方関節包
水平伸展では、前方関節包
が伸張されます。
肩関節外旋の伸張部位
1st外旋(肩関節屈曲0°)では、前方関節包、鳥口上腕靭帯
2nd外旋(肩関節外転90°)では、前下方関節包
3rd外旋(肩関節屈曲90°)では、上方関節包
が伸張されます。
肩関節内旋の伸張部位
1st内旋(肩関節屈曲0°)では、後方関節包
2nd内旋(肩関節外転90°)では、後下方関節包
3rd内旋(肩関節屈曲90°)では、下方関節包
が伸張されます。
これらの伸張部位が制限する事で、肩関節の可動域が制限する原因となります。
まとめ
今回、関節包や靭帯に対してまとめました。
ポイントとして、
どの運動方向に対して制限が生じているかを評価する必要性があります。
肩関節疾患の原因は様々であり、しっかりと原因を見極める事が大事です。(関節包や靭帯が原因とは限らない。)
この記事が、リハビリテーションの介入にあたり何らかの一助になって頂ければ幸いです。
最後まで読んで頂き有難うございました。
参考文献
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