肩関節痛の評価〜肩上方の痛みに対して〜
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本日もブログに訪れて頂き有難うございます。
このブログを運営している作業療法士のYudai(@yudai6363)です。

今回から、肩関節痛に対してシリーズ化してまとめていこうと思ってます。

 

本日は肩関節痛の記事第一弾!!
「肩上方に対しての肩関節痛の評価」
について文献や書籍をもとに解説します。

力学的ストレスとは

肩上方の肩関節痛を引き起こす原因として、
3種類の力学的ストレス(負荷)が加わる事で生じます。

力学的ストレスは、
①伸張ストレス
②圧縮ストレス
③剪断(せんだん)ストレス
の3種類に大別されます。

伸張ストレス

伸張ストレスとは、
"組織に伸張が加わった際に発生するストレス"です。

腱や靭帯などの張力を伝える組織が伸張ストレスによって機能不全が生じます。

 

圧縮ストレス

圧縮ストレスとは、
"組織に圧縮が加わった際に発生するストレス"です。

関節面や関節を介在する繊維軟骨、関節周囲の脂肪体など、身体に加わる力を緩衝する組織はこのストレスが増強すると機能不全が生じます。

 

剪断ストレス

剪断ストレスとは、
"組織を互い違いに引き裂くようなストレス"です。

回旋運動が加わる組織に生じます。

 

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肩関節の内転運動時の痛み

痛みの方向

肩関節の内転運動では、
肩甲上腕関節の上腕骨頭は下方へ転がり上方に滑ります。

機能不全により、上腕骨頭の上方への滑りが生じず、下方へ転がる場合には肩甲上腕関節の上方に伸張ストレスが加わります。

 

関与している部位

伸張ストレスによって肩上方の肩関節痛が生じている場合、
棘上筋棘下筋肩甲上腕神経が関与している事を疑います。

 

棘上筋・棘上筋

棘上筋・棘下筋をはじめとした腱板は、「肩甲骨の関節窩に上腕骨頭を引きつける役目」をしています。

主に肩関節中間可動域では、腱板筋の張力による上腕骨頭と関節窩への圧迫により安定化が図れています。(最終可動域では、上・下関節上腕靭帯の緊張により安定化が図れている。)

 

棘上筋の疼痛誘発テスト

代表的な棘上筋の疼痛誘発テストは
・drop arm sign
・empty can test
があります。


Image1:The Diagnosis-Driven Physical Exam of the Shoulder
Image2:Empty Can (Jobes) Test

 

棘上筋の疼痛誘発テスト

代表的な棘下筋の疼痛誘発テストは
external rotation lag sign
があります。


Image3:ArtroHombro

 

肩甲上神経

肩甲上神経は、腕神経叢の上神経幹から分岐し、肩甲切痕部で肩甲骨の腹側から背側へ周り込ます。
その後、棘上窩を外側に向かい走行し、棘窩切痕で走行を変えます。
肩甲切痕で棘上筋への筋枝を分岐して、棘窩切痕を経過した後に棘下筋への筋枝を分岐します。

下のイラストから見て分かる様に肩甲上神経は、肩甲骨に固定されています。
よって、肩関節水平内転時では肩甲骨は外転方向の移動に伴い、肩甲上神経は棘窩切痕で伸張されます。
また、肩甲切痕では上肩甲横靭帯が存在する為、下制時に肩甲上神経に牽引されます。

肩甲上神経に対する伸張ストレスは、
肩関節上部の関連痛として生じる事があります。

 

 

疼痛の原因

棘上筋・棘下筋、肩甲上神経に問題があり、
機能不全が生じた場合4つの原因が挙がります。

①腱板構成筋の筋力低下
②肩甲胸郭関節の安定性の低下
③肩甲上腕関節の安定性の低下
④肩甲上腕関節の上方軟部組織の拘縮

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上肢挙上時の痛み

痛みの方向

上肢を挙上すると、肩関節の上方組織が肩峰の深層に入り込む事で圧縮ストレスが生じます。

また、投球動作など上肢を挙上位で大きく可動させると圧縮ストレス剪断ストレスが加わります。

その為、肩上方に存在する肩峰下関節は、圧縮ストレスや剪断ストレスを受けやすい組織となっています。

 

関与している部位

圧縮ストレス・剪断ストレスによって肩上方の肩関節痛が生じている場合、先ほど解説した棘上筋棘下筋、に加え肩峰下滑液包が関与している事を疑います。

 

肩峰下滑液包

肩峰下滑液包は、腱板(棘上筋)と肩峰との間に存在する軟部組織です。

役割として、腱板の動きを円滑にしたり、肩峰下関節に生じる圧縮ストレスを緩衝します。

肩峰下滑液包の機能不全によって生じる代表的な疾患に
肩峰下インピンジメントがあります。

肩峰下インピンジメントにより、肩峰下に存在する棘上筋・棘下筋や肩峰下滑液包に加わる圧縮ストレスが増強した結果、疼痛が出現すると考えられます。

 

肩峰下インピンジメントをもっと理解したい方はこちらの記事を参照して下さい。

肩峰下インピンジメントについての記事

 

肩峰下滑液包の疼痛誘発テスト

代表的な肩峰下滑液包の疼痛誘発テストは
・Hawkins-kennedy test
・Neer test
があります。


ImageEMのアカデミックライフ
Image5EMのアカデミックライフ

 

 

疼痛の原因

棘上筋・棘下筋、肩峰下滑液包に問題があり、
機能不全が生じた場合4つの原因が挙がります。

①腱板構成筋の筋力低下
②肩甲胸郭関節の安定性の低下
③肩甲上腕関節の安定性の低下
④肩甲上腕関節の上方軟部組織の拘縮

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Point

今回は肩関節の上方の痛みを理解するにあたりポイントを3つにまとめました。

 

ポイント①
力学的ストレスを理解する。

伸張ストレスによって肩上方に肩関節痛が生じている場合、
棘上筋・棘下筋、肩甲上腕神経が関与している。

圧縮ストレス・剪断ストレスによって肩上方に肩関節痛が生じている場合、棘上筋・棘下筋、肩峰下滑液包が関与している。

 

ポイント②
疼痛誘発テストを理解する。

棘下筋疼痛誘発テスト
external rotation lag sign

棘上筋疼痛誘発テスト
:drop arm sign・empty can test

肩峰下滑液包疼痛誘発テスト
:Hawkins-kennedy test・Neer test

 

ポイント③
疼痛の原因を理解する。

腱板構成筋の筋力低下
肩甲胸郭関節の安定性の低下
肩甲上腕関節の安定性の低下
肩甲上腕関節の上方軟部組織の拘縮

が考えられる。

 

 

 

参考文献・書籍

肩関節痛のリハビリテーションに必須な評価法と活用法

バイオメカニクスに基づいた肩関節障害の評価と治療

肩関節の解剖, 腱板機能およびその治療

腱板機能からみた肩関節インピンジメント症候群に対する運動療法―その評価と治療のコツ

肩関節痛・頸部痛のリハビリテーション

運動器障害の「なぜ?」がわかる評価戦略

 

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