肩関節痛の評価〜肩前上方の痛みに対して〜
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今回は肩関節痛の記事第二弾!!
「肩前上方に対しての肩関節痛の評価」
について文献や書籍をもとに解説します。

肩関節の外旋時の痛み

痛みの方向

肩関節の外旋運動では、
肩甲上腕関節の上腕骨頭は後方へ転がり、前方へ滑ります。
その際に、肩関節前面の軟部組織が伸張されます。

機能不全により、肩関節前面の軟部組織の伸張性が低下している場合、外旋運動時に肩関節前面に伸張ストレスが加わります。

 

  

関与している部位

伸張ストレスによって肩前上方に肩関節痛が生じている場合、
肩甲下筋腱板疎部が関与している事を疑います。

  

 

肩甲下筋

肩甲下筋は、停止部(上腕骨小結節)まで筋束が残っており、柔軟性が富んでいます。その為、肩甲下筋の拘縮が生じると外転、外旋運動が制限されます。

または、筋力低下により外旋方向へ引っ張られ伸張ストレスが増強します。

 

肩甲下筋の疼痛誘発テスト

代表的な肩甲下筋の疼痛誘発テストには、
・Lift off test
・Belly press test
があります。



image1:researchgate
image2:researchgate

 

 

腱板疎部

腱板疎部とは、名前の通り腱板に覆われていない部分を指します。

肩関節前方は、肩甲下筋、上方を棘上筋、後方を棘下筋、後下方を小円筋で覆われていますが、前上方部分は腱板に覆われていません。

また腱板疎部は、鳥口上腕靭帯から構成されています。

鳥口上腕靭帯は、腱板筋それぞれの走行の異なる隙間を埋めて、張力を調整し肩関節の安定に関与しています。

鳥口上腕靭帯は損傷・炎症しやすい部位であり、その結果、"拘縮"しやすくなります。

 

腱板疎部損傷の整形外科テスト

代表的な腱板疎部損傷の整形外科テストには、
・Sulcus test
があります。



Image3:MediSavvy

  

疼痛の原因

肩甲下筋、腱板疎部に問題があり、
機能不全が生じた場合に2つの原因が挙がります。

 

原因①「上腕骨頭と関節窩の位置関係」

肩甲下筋、腱板疎部などの前方組織が短縮すると、外旋運動時に上腕骨頭を前方に引く為、上腕骨頭が前方変位します。
また、前方組織の伸張性が高い状態後方の軟部組織の短縮が生じると、外旋運動時に上腕骨頭が後方へ転がらず、前方組織の伸張性が高い為に前方へ押し出され結果的に前方変位します。

 

原因②「肩甲下筋の機能低下」

介入として、肩甲上腕関節の内転運動を等尺性収縮にて行い肩甲下筋の収縮を促します。

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肩関節の内旋時の痛み

痛みの方向

肩関節の内旋運動では、
肩甲上腕関節の上腕骨頭は前方へ転がり、後方へ滑ります。

この時に、後方への滑りが少ない状態で内旋運動を行うと、肩関節前面に圧縮ストレスが生じます。

 

関与している部位

圧縮ストレスによって肩前上方に肩関節痛が生じている場合、
関節唇が関与している事を疑います。

 

関節唇

関節唇は軟部組織で構成されており、「肩甲上腕関節の安定化を図る」役割をしており、上方で上腕二頭筋長頭腱と結合しています。

上腕骨頭に過剰な運動が生じると関節唇への圧縮ストレスが増強します。その為、上腕二頭筋長頭腱が過剰に牽引する事で、関節唇ストレスが生じて損傷する事があります。

 

関節唇の疼痛誘発テスト

代表的な関節唇の疼痛誘発テストには、
・Crank test
があります。



image4:vimeo

 

疼痛の原因

関節唇に問題があり、
機能不全が生じた場合に2つの原因があがります。

 

原因①「肩関節後方軟部組織の拘縮」

肩甲上腕関節の後方関節包の拘縮は、肩関節内旋時に後方の滑りを阻害します。後方の滑りを阻害された状態で内旋運動を行うと、前上方に圧縮ストレスが増強し疼痛が生じます。

Image5:肩関節の身体運動学と運動療法

 

原因②「肩甲下筋の筋力低下」

肩関節内旋運動では、大胸筋など大きな力を発揮する筋(アウターマッスル)とともに肩甲下筋(インナーマッスル)が収縮する事で肩関節の安定化を図っています。

肩甲下筋の筋力低下によって、肩関節は不安定となり結果的にアウターマッスルの筋収縮により前上方に圧縮ストレスが増強し疼痛が生じます。

 

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挙上時の痛み(肩前方変位)

痛みの方向

肩関節前方変位した状態で挙上した際に上腕二頭筋長頭腱の摩擦ストレスが強くなります。

上腕二頭筋長頭腱の表層には、上腕横靭帯があり、上腕横靭帯が肥厚すると結節間溝部で摩擦ストレスが生じます。

 

 

関与している部位

摩擦ストレスによって、肩前上方に肩関節痛が生じている場合、
上腕二頭筋長頭腱が関与している事を疑います。

 

 

上腕二頭筋長頭腱

上腕二頭筋長頭腱は、関節上結節および関節唇前上方部から起始し、関節包内を通過し関節外に出て結節間溝を通り、上腕筋の表層に位置します。

また、上腕二頭筋長頭腱は肩関節内旋では肩甲上腕関節の前方を通過し、肩関節外旋では肩甲上腕関節の上方を通過します。

その為、上腕二頭筋長頭腱は運動方向によって移動し、摩擦ストレスがかかり易くなります。


 

 

上腕二頭筋長頭腱の疼痛誘発テスト

 代表的な上腕二頭筋長頭腱の疼痛誘発テストには、
・Speed test
・Yergason test
があります。



image6:MediSavvy
image7:MediSavvy

 

 

疼痛の原因

上腕二頭筋長頭に問題があり、
機能不全が生じた場合に以下の原因があがります。

 

上腕骨頭と関節窩の位置関係

上腕骨頭の前方変位は、上腕二頭筋長頭腱を伸張する為、伸張位での摩擦ストレスが生じます。

 

詳細は上腕二頭筋長頭腱に対しての記事を参照して下さい。

上腕二頭筋長頭腱についての記事

 

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Point

今回は肩関節の前上方の痛みを理解するにあたりポイントを3つにまとめました。


・ポイント①

力学的ストレスを理解する。
肩関節の前上方の痛みは、伸張・圧縮・摩擦ストレスの3つに大別できる。 


・ポイント②

疼痛誘発テスト・整形外科テストを理解する。
・肩甲下筋の疼痛誘発テスト
:Lift off test・Belly press test

・腱板疎部損傷の整形外科テスト
:Sulcus test

・関節唇の疼痛誘発テスト
:Crank test

・上腕二頭筋長頭腱の疼痛誘発テスト
:Speed test・Yergason test


・ポイント③

疼痛の原因を理解する。

肩前上方の疼痛の原因として
・上腕骨頭と関節窩の位置関係
・肩甲下筋の機能低下
・肩関節後方軟部組織の拘縮
が考えられる。

 

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参考文献・書籍

肩関節痛のリハビリテーションに必須な評価法と活用法

バイオメカニクスに基づいた肩関節障害の評価と治療

肩関節の解剖, 腱板機能およびその治療

腱板機能からみた肩関節インピンジメント症候群に対する運動療法―その評価と治療のコツ

肩関節痛・頸部痛のリハビリテーション

運動器障害の「なぜ?」がわかる評価戦略

高齢者での棘上筋腱,肩峰下滑液包と 上腕二頭筋長頭腱の肥厚変化 一超音波検査を用いて一

肩前上方部の解剖(肩甲下筋腱. 上腕二頭筋長頭腱,烏ロ上腕靱帯を中心に)

 

 

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