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ブログを運営している作業療法士のYudai(@yudai6363)です。
本日は「肘関節の構造と機能」
について文献や書籍をもとに解説します。
肘関節とは?
肘関節は大きな可動性を有しており、上腕と前腕を連結する関節です。
主な運動として、屈曲/伸展と回内/回外の運動を担っており、手の空間領域を広げ効率的な運動を可能とします。
正常な肘関節の屈曲/伸展の可動域は、屈曲145°・伸展5°であり、日常生活における必要な可動域は、屈曲130°・伸展-30°とされています。
また、回内/回外の可動域は、回内90°・回外90°であり、日常生活における必要な可動域は、回内50°・回外50°とされています。
肘関節を構造する3つの関節
肘関節は複合体となっており、
腕橈関節と腕尺関節、上橈尺関節の3つの関節
から構成されています。
腕橈関節は、球関節であり上腕骨小頭と橈骨頭から成り立っています。主な運動として、屈曲/伸展に関与しています。
腕尺関節は、螺旋関節であり上腕骨滑車と尺骨の滑車切痕から成り立っています。主な運動として、屈曲/伸展に関与しています。
上橈尺関節は、車軸関節であり橈骨頭の関節環状面と尺骨の橈骨切痕から成り立っています。主な運動として、前腕の回内/回外に関与しています。
肘関節は大きな可動性を有しており、特に螺旋関節である腕尺関節の構造から、屈曲/伸展での最終域では安定性が非常に高く、中間可動域では靭帯や筋が安定性を担う割合が高いです。
そのため、中間可動域において、強い外力が加わった際や、日常の中で頻回に弱い外力が加わった際に、安定化機構への不可が増加して疼痛が生じます。また、屈曲/伸展と回内/回外が制限されると肩関節や手関節の疼痛を引き起こす可能性があります。
肘関節の安定化機構
肘関節の安定化機構には、
静的安定化機構と動的安定化機構に大別出来ます。
静的安定機構
骨形態
上腕骨滑車と尺骨滑車切跡からなる腕尺関節で適合性が高いです。
特に屈曲最終域では、尺骨鉤状突起が上腕骨鉤突窩に入り込み、伸展領域では肘頭が上腕骨肘頭窩にはまり込みます。
関節包と靭帯
肘関節の関節包は関節を完全に包み込み、広くてゆるい状態となっています。
関節の両側は、内側側副靭帯と外側側副靭帯で補強されていますが、前面と後面は弱い状態となっています。
滑膜
関節包内面を覆い、さらに上腕骨鉤突窩、橈骨窩、肘頭窩を覆っています。
また滑膜ヒダが非常に多く発達しており、ヒダの中には多くの脂肪組織が含まれています。滑膜ヒダは、屈曲時に上腕骨肘頭窩はまり込み、肘伸展時には尺骨鉤状突起と上腕骨鉤突窩にはまり込みます。
動的安定機構
内側支持機構
前腕屈筋群のうち、上腕骨内側上顆から起始する尺側手根屈筋、浅指屈筋、橈側手根屈筋、円回内筋は、肘関節の外反を制動します。
外側支持機構
前腕伸筋群のうち、上腕骨外側上顆から起始する長・短橈側手根伸筋は、肘関節の内反を制動します。
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肘関節の運動に関与する筋
肘関節屈曲
肘関節を屈曲させる筋は、
おもに上腕二頭筋、上腕筋、腕橈骨筋があります。
肘関節伸展
肘関節を伸展させる筋は、
おもに上腕三頭筋、肘筋があります。
前腕回内
前腕を回内させる筋は、
おもに円回内筋と方形回内筋があります。
前腕回外
前腕を回外させる筋は、
おもに上腕二頭筋と回外筋、腕橈骨筋があります。
まとめ
今回、肘関節の構造についてまとめました。
・肘関節は複合関節であり、腕尺関節と腕橈関節と上橈尺関節3つの関節から構成される。
・腕尺関節と腕橈関節は、屈曲/伸展の運動に関与し、上橈尺関節は、前腕の回内/回外の運動に関与する。
・肘関節の安定化機構には、静的安定化機構と動的安定化機構に大別出来る。
・肘関節の運動に関与する筋として、上腕遠位部・前腕近位部周辺の筋が関与している。
本日も最後までよんで頂き有難うございました。
参考文献・書籍
標準理学療法学・作業療法学専門基礎分野解剖学第3版
運動機能障害の「なぜ?」がわかる評価戦略
肘関節のバイオメカニクス
肘の関節可動域と制限因子、その対応について
肘関節の機能と可動域の測定方法
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