前頭葉症状である「感情と情動の障害」を理解する
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本日もブログに訪れて頂き有難うございます。
ブログを運営している作業療法士のYudai(@yudai6363)です。

 

今回の記事の内容は、
前頭葉症状のひとつである「感情と情動の障害」
について解説していきます。

はじめに

まず、高次脳機能障害を呈する上位の症状として

行動と感情の障害

・記憶障害

注意障害

失語症

遂行機能障害

が挙げられます。

 

その中でも、黄色のラインで示している、

・行動と感情の障害
・注意障害
・遂行機能障害
・失語症

は前頭葉の責任病巣として占める比率が高く、
社会参加を阻害する要因とされています。

 

その中でも、最も社会参加を阻害する症状として、
「感情と情動の障害」が挙がります。

 

前頭葉の機能についての詳細はこちら

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感情と情動の障害

感情と情動の障害が生じると、
人格変化が生じやすくなります。

 

代表的な症状

・病識の欠如

・感情の変化

・脱抑制、反社会的行動

・自発性の低下

・無関心  など

があります。

 

 

病識の欠如

病識は欠如しており、病感も失われている事が多いです。

また、社会的環境において自己の位置を意識させる能力も障害されます。

 

 

感情の変化

多幸的や、不機嫌、幼稚な性格変化等、さまざまな感情変化を呈します。

 

 

脱抑制・反社会的行動

抑制が解除される事で、衝動的な暴言・暴力行動、窃食や窃盗などが生じます。悪気は無く指摘されても、何に指摘されているか気付かない事があります。

 

自発性の低下

声をかけないと一日中同じ場所でしっとしている。思考面や気分の変化が無いなどの症状が生じます。

 

 

無関心

自己に対しても、他者など周囲に対しても無関心になります。その為、病棟でもスタッフや他患者に話しかける事はほとんど観察されません。

 

これらの各症状は
急性期より慢性期にかけて多く出現」します。

理由として、発症経過とともに自己認識が改善され、自己を客観的にみる事が出来る様になり、対人関係の喪失や対象者の生きがいであった活動を失うなどの社会的要因が考えられます。

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評価:FAB

前頭葉機能において、代表的な評価に

「Frontal Assessment Battery:FAB」

があります。

 

FABはDuboisらにより2000年に発表された評価であり、

FABの下位項目

①類似性の理解(概念化能力)

②語の流暢性(思考の柔軟性)

③運動系列(運動のプログラミング)

④葛藤指示(干渉刺激に対する敏感さ)

⑤Go/No-Go課題(抑制コントロール)

⑥把握行動(被影響性の亢進)

の6つのサブテストを合計して18点で示します。

またカットオフ値は12/11点となっています。

所要時間は15〜10分で済みます。

image:特発性正常圧水頭症診療ガイドライン 第2版

 

 

類似性の理解

前頭葉機能障害の特徴的な間違いパターンとして、「直接的な特徴」を答えてしまう事が挙げられます。

また、ヒントを与えても回答を修正する事が難しくなります。

 

 

語の流暢性

前頭葉機能障害の場合、思考の柔軟性が低下し、「言葉が次々に出てこない。」「同じ回答を続けてしまう。」などの間違いがパターンとして生じます。

 

 

運動系列

前頭葉機能障害の場合、単一の行動は可能なのに複数の行動を手順に沿って進める事が困難となります。

 

 

葛藤指示

人は元々真似をしてしまう傾向があります。前頭葉機能障害の場合、反射的な抑制を行動する事が出来なくなります。

 

 

Go/No-Go課題

前頭葉機能障害の場合、ワーキングメモリによるルールの保持や反射的な行動を抑制出来なくなります。

 

 

把握行動

前頭葉機能障害の場合、対象者の手を触れると無意識に関わらず握ってしまう異常行動が見られます。

 

♠注意点
「FABの得点がカットオフ値だから前頭葉機能に障害がある。」といった診断には注意が必要。

FABの低得点については、

知能・記憶などの他の認知機能
錐体外路症状
失調などの運動機能
注意・集中などの覚醒度

などの結果をもとに、慎重に解釈する必要があります。

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介入法

行動変容を目的とした介入

社会への不適応行動(暴力、暴言などの反社会的行動)は、社会参加を阻害する大きな問題となります。

この様な場合においては、対象者の「行動変容」を行う事が重要とされています。

何が適応行動なのかを学習する為には、何が適応で、何が不適応なのかを医療スタッフと対象者が明確な認識をもち、適応行動を数多くみられる様にし、逆に不適応行動が減少していく様に強化していく必要があります。

 

例として、

○正の強化

・良い交流が出来た。
・騒がず静かに病棟生活が送れている。
・自分の感情を抑える事が出来た。

→・褒めたり、楽しい環境を提供する。
 ・やりがいを感じさせる。

 

×負の強化

・大騒ぎする。
・暴言・暴力をする。
・引きこもる。

→・細かく注意する。冷たい対応や、無視した対応をとる。

その後、不適応行動から適応行動に変わるのを待ち適応行動が見られた時に強化する事が重要。

 

 

環境調整を目的とした介入

良好な人間関係の維持や作業課題の遂行において「環境」の影響は大きいです。

 

リハビリテーションにおける対象者の環境を、

①物理的環境

②人間的環境

③社会的環境

の3つに分類でき、対象者の能力障害の大部分はこうした環境で決定されます。

つまり、同じ障害を持つ2人の対象者でも、環境が変わるとその活動は大きく変わります。

 

①物理的環境
混乱を避け、高度な判断を要さなくても良いような環境を指しています。

例として、聴覚、視覚の入力を制限するといった環境調整を実施します。

 

②人間的環境
人間関係は、対象者の心理社会的問題に大きな影響を与えます。

周囲の人間の障害への無理解が対象者の不信感や疎外感を与える為、医療・福祉スタッフが対象者の障害を周囲に周知させ、支持的に対応する必要があります。

 

③社会的環境
社会資源に関する各種の情報を次の場所へ提供する事が大切です。

 

 

 

まとめ

感情と情動の障害、いわゆる前頭葉症状は社会参加を阻害する要因とされ、また、人格変化を生じやすく、脱抑制、反社会的行動などの不適応行動が見られます。

前頭葉機能において、代表的な評価にFABがあります。

介入として、対象者の行動を変容させる事や環境を調整する事が重要です。

 

本日も最後まで読んで頂き有難う御座いました。

 

 

 

参考文献・書籍

高次脳機能障害第2版
前頭葉障害のリハビリテーション
前頭葉の機能解剖と神経心理検査:脳賦活化実験の結果から
前頭葉症状の診かた

 

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