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ブログを運営している作業療法士のYudai(@yudai6363)です。
以前の記事で述べた様に、関節可動域制限因子には、8つの因子に分類する事が出来ます。
詳細は下の欄から確認して下さい。
1.痛み
2.皮膚の癒着や皮膚の伸張性の低下
3.関節包の癒着や短縮
4.筋、腱の短縮および筋膜の癒着
5.筋緊張の増加(筋スパズム)
6.関節包内運動の障害
7.腫脹や浮腫
8.骨の衝突
今回は、「関節可動域の制限因子の介入」の主に6〜8の制限因子の介入について解説していきます。
※前回の記事では、1〜5の制限因子についての介入を解説しています。
詳細は下の欄から確認して下さい。
関節包内運動の障害
♠原因:
関節の遊びや構成運動の障害により関節可動域は制限されます。
多くは関節包の短縮に起因する事が多く、無抵抗性や軟部組織伸張性、スパズム性、弾性抑止性など様々なエンドフィールが生じます。
関節包内運動の障害に対しての介入では、「関節モビライゼーション」が効果的です。
関節モビライゼーション
1)骨運動と関節内包運動
屈曲、外転などの関節角度変化を伴った骨運動に対して、骨運動に伴って動く関節面の動きや骨運動を伴わない外力による関節面の動きを関節包内運動と呼びます。
関節包内運動は、構成運動と関節の遊び運動に分類されます。
・構成運動
構成運動とは、自動運動や他動運動時の骨運動に伴う関節面の相互の動きであり、滑り、転がり、軸回旋があります。
・関節の遊び運動
関節の遊び運動とは、骨運動を伴わないで他動的外力を加えた場合の運動であり、滑りと離開があります。関節の遊び運動は随意運動では困難です。
2)ゆるみの肢位としまりの肢位
各関節は、関節面の密着度により、ゆるみの肢位としまりの肢位に分ける事が出来ます。
・ゆるみの肢位
ゆるみの肢位とは、通常loose-packed position(LPP)といいます。
LPPは、関節に生じるストレスが最小となる肢位であり、関節包や靭帯が緩み、関節面が最も解離する位置です。
・しまりの肢位
しまりの肢位とは、通常close-packed position(CPP)といいます。
CPPは、靭帯や関節包が緊張し、関節面は密着し固定された位置であり、最も関節が安定している肢位です。
3)実践方法
関節モビライゼーションを実践する上で、離開法、滑り法、構成運動誘導法があります。
・離開法
関節の角度はLPP肢位に固定し、関節面を引き離す為に関節面に対して垂直方向に骨を牽引し、離開します。
・滑り法
関節の角度はLPP肢位に固定し、関節面を互いに反対方向に平行移動させる為に、関節面に対して平行に骨を滑らせます。
・構成運動誘導法
各関節の骨運動に伴って起こる関節内包の滑り、回転、軸回旋を誘導しながら骨運動を行います。
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腫脹・浮腫
♠原因:
外傷後の腫脹やさまざまな原因による浮腫により関節可動域は制限されます。
腫脹や浮腫が強いと、軟部組織接触性のエンドフィールが生じます。
腫脹・浮腫に対しての介入で重要な事は、腫脹・浮腫の除去をする事であり、その為に「アイシング」や「圧迫療法」、「筋ポンプ作用運動」が代表的です。
アイシング
アイシングとは、温度刺激によって対象者の状態改善を図る物理療法です。
アイシングを実施する事で、血管収縮が起こり、リンパ液の生成を減少させ、浮腫・疼痛緩和の抑制や回復を促進する事が出来ます。
圧迫療法
圧迫療法とは、弾性包帯やストッキングを使用し浮腫部を圧迫するアプローチです。
圧迫療法の目的として、
①組織間の圧力をあげて、組織間に貯蓄したリンパを効果的にリンパ系へ移動させる。
②拡張したリンパ管を正常に近い状態まで細くして弁機能を改善させ、リンパ還流を改善させる。
③組織化した皮膚や皮下組織を柔らかくし元の状態に戻す。
といった事が挙げられます。
筋ポンプ作用
腫脹や浮腫に対しては、筋ポンプ作用が最も効果的との報告もあります。
浮腫部の皮膚を一定の圧力で圧迫し外部から固定された状態で運動を行う事で、筋肉の収縮・弛緩による筋ポンプ作用が増強、リンパ還流が刺激され、リンパの運搬能力を高めることができます。
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骨の衝突
♠原因:
関節構成体の変形などによる骨の衝突により、関節可動域は制限されます。
この場合、硬く弾力の無い骨性のエンドフィールが生じます。
骨性の衝突が生じている代表的な疾患はリウマチでありこの場合は、関節可動域の改善は困難であり、過剰な可動域練習は禁忌となります。
参考文献・書籍
・市橋則明:関節可動域制限に対する運動療法.特別寄稿,2008
・市橋則明:関節可動域制限に対する運動療法 運動療法学一障害別アプローチの理論と実際 (市橋則明編),文光堂,2008
・林浩之:脳卒中患者における非麻痺側ハンドグリップ運動は麻痺側上肢の静脈還流を促進する:座位での検証日本作業療法学会抄録集 52: 175-175, 2018.
・宮本重範:関節モビライゼーション.理学療法学 22(suppl-1): 81-81, 1995.
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