観察場面から高次脳機能障害を理解する。
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本日もブログに訪れて頂き有難うございます。

ブログを運営している作業療法士のYudai@yudai6363)です。

 

今回は、行動観察評価で代表的な
広南スコア」「CBA」「MARS」
について述べていきます。

この記事を読む事により、
高次脳機能障害を観察場面から具体的かつ数値化できる行動観察の評価を理解する事が出来ます。

臨床場面での高次脳機能障害の評価には、主に机上で実施する「神経心理学的検査」がよく用いられます。

 

しかし、受傷直後の超急性期や全身状態が落ち着かない対象者、机上評価に対するモチベーションが低い対象者などに関しては、机上検査を行っても潜在的な機能が反映しない事があります。

 

この様に机上での神経心理学的検査が実施困難な場合には、
日常生活場面での行動観察から評価を行なっていく必要
があります。

 

現在の行動観察場面では、FIMの認知項目の数値化が可能かつ信頼度も高い評価の代表となっています。しかし、理解、表出、問題行動、記憶、社会交流の5項目のみの総合得点で高次脳機能障害の全体像を表す事が困難だと思います。

 

これらの事より「具体的かつ数値化できる行動観察の評価」が求められます。

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広南スコア

意識障害を伴う対象者に対して、意識レベルでの変動や生活動作の観察から評価する東北療護センター遷延性意識障害度スコア表(広南スコア)があります。

 

広南スコアの特徴として、
GCSやJCSといった大まかな意識レベルの評価では無く、細かくより生活場面に焦点を当てた評価
となります。

 

評価項目には、
①自力移動
力摂取
尿失禁状態
球の動きと認識度
発声と意味のある発語
単な従命と意思疎通
情変化
の7項目から成り、各項目に対して0点〜10点の尺度により点数を付けます。

 

また得点は、0点から70点の範囲であり、点数が高いほど意識障害が重度となります。

◯合計得点

0点:最良
1点から24点:脱却例
25点から39点:軽度例(移行型)
40点から54点:中等度例(不完全)
55点から64点:重症例(完全)
65点から70点:再重症例(完全植物症)

 

Image:広南病院-Kohnan Hospital-広南スコア-URL: https://www.kohnan-sendai.or.jp/img2/enkaku/sukoa.pdfより引用

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CBA

脳卒中対象者に出現する認知機能を行動観察から評価する認知関連行動アセスメント(CBA)があります。

 

CBAは、臨床神経ピラミッド行動・認知障害のモデルを構成概念に有し、神経心理学的検査では評価しにくい局在性の低い全般症状を評価の対象としています。

 

Image:森田秋子.高次脳機能障害をめぐる多職種連携に言語聴覚士が果たす役割.シンポジウム:高次脳機能障害の診療における多職種連携2018.9

 

CBAの特徴として、
急性期から慢性期・生活期と幅広く使用可能です。
また、ADLの自立や内服の自己管理、転倒などとの相関もあります。

 

採点者は、作業療法士、言語聴覚士のみならでは無く、高次脳機能障害を専門としない、看護師や理学療法士、介護士といった対象者に関わるスタッフの参加が可能であり、自分たちが持っている情報を発信する事で、客観的に数値化でき、高次脳機能障害への理解を深める事が出来ます。

 

評価方法として、
対象者の練習場面や日常生活などを1週間観察します。

 

評価項目は、
①意識
②感情
③注意
④記憶
⑤判断
⑥病識
の6項目から成り、各項目に対して1点〜5点の尺度により点数を付けます。

 

各項目に対しての尺度として、
1点:最重度・
2点:重度・3点:中等度・4点:軽度・5点:良好となります。

 

また得点は、6点〜30点の範囲であり、点数が高いほど認知機能が良好となります。

◯合計得点
6点〜9点:最重度
10点〜15点:重度
16点〜21点:中等度
22点〜27点:軽度
28点〜30点:良好

となります。

 

Image:菱川法和他.回復期像卒中患者に対する認知関連行動アセスメントの評価者間信頼性の検討.愛知県理学療法学会誌第29巻2号.2017.12より引用

 

 

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MARS

脳損傷対象者を対象とした注意障害の観察評価としてMoss Attention Rating Scale(MARS)があります。

 

MRSAの特徴として、
病期を問わずに急性期から慢性期と幅広く使用可能です。

 

評価方法として、
2日間以上対象者の観察を行い、その後に採点を行います。

 

採点者は、作業療法士のみでは無く医師、看護師、理学療法士、言語聴覚士などの多職種でも評価可能です。

 

評価項目は22項目から成り、各項目に対して1点〜5点の尺度により点数を付けます。

 

また得点は、22点〜110点の範囲であり、得点が高いほど注意機能が良好となります。

 

各項目の尺度として、1点:明らかに当てはまらない。2点:大部分で当てはまらない。3点:時には当てはまるが、時には当てはまらない。4点:大部分で当てはまる。5点:明らかに当てはまる。となります。(※Reverseといった逆転項目が存在する。)

 

また項目には、
①落ち着きのなさRestless/注意散漫Distractionの5項目
②開始Initiationの3項目
③持続性Sustained/一貫性Consistentの3項目
の3つの因子が存在し、それぞれの因子得点として算出する事も可能です。

 

Image:澤村大輔他. Moss Attention Rating Scale 日本語版の信頼性と妥当性の検討.高次脳機能研究第32巻3号.2012.9より引用

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参考文献

・佐藤愛他.意識障害のある患者の意識レベルの変化〜関節可動域訓練を通して〜AMCoR.看護研究集録.2014.12
・森田秋子.高次脳機能障害をめぐる多職種連携に言語聴覚士が果たす役割.シンポジウム:高次脳機能障害の診療における多職種連携2018.9
・菱川法和他.回復期像卒中患者に対する認知関連行動アセスメントの評価者間信頼性の検討.愛知県理学療法学会誌第29巻2号.2017.12
・澤村大輔他. Moss Attention Rating Scale 日本語版の信頼性と妥当性の検討.高次脳機能研究第32巻3号.2012.9