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今回の記事では、"肩甲帯について理解を深めよう"と思います。
・肩甲帯は、どのような構造になっているのか?
・肩甲帯には、どのような役割があるのか?
などが理解できると思います。
はじめに
肩甲帯の主な役割として、
上肢や手指などの末梢に対しては、「運動の基盤」として働き、
体幹などの中枢部に対しては、「バランス機構」として働きます。
肩甲帯とは
肩甲帯とは、肩甲骨・胸骨・鎖骨・上腕骨と、これらを連結させる筋・靭帯を含んだ「肩関節周辺機構の総称」です。
また肩甲帯は、肩甲胸郭関節・肩甲上腕関節・肩鎖関節・胸鎖関節をもち、それらの相互作用によって機能されます。
肩甲帯の役割
肩甲帯の役割は、上肢末梢部の運動に対して「操作性と安定性の保証」を担っています。
上肢の操作性が安定的に行われる為には、
✔︎肩甲骨の可動性。
✔︎肩甲骨周囲筋群の協調的な働き。
が重要となります。
肩甲骨の可動性
肩甲骨の可動性を担保するには、胸鎖関節の可動性が必要となります。
胸鎖関節は、鎖骨の広範囲な運動を担っており、肩甲骨の全般的な運動の誘導が行われます。
その他に、胸鎖関節は肩甲胸郭関節の運動にも最大限に関与しています。
肩甲骨周囲筋群の働き
上肢の操作性への影響として、肩甲骨と上腕骨を連結する腋窩の前壁と後壁の筋が重要となってきます。
「腋窩の前壁を構成する筋」として、
・大胸筋
・小胸筋
・三角筋前部線維
・鳥口腕筋
・上腕二頭筋
が挙げられます。
これらの筋は、肩甲骨鳥口突起・肩峰・関節上結節・鎖骨などから起始し、体幹と上腕骨へ走行しています。
筋の特徴として、大胸筋と三角筋前部線維が筋連結し、上腕二頭筋と鳥口腕筋・小胸筋が筋連結しています。
「腋窩の後壁を構成する筋」として、
・三角筋後部線維
・棘上筋
・棘下筋
・小円筋
・大円筋
・広背筋
・上腕三頭筋
が挙げられます。
これらの筋は、肩甲棘・棘上窩・棘下窩・外側縁・下角などから起始し、上腕骨へ走行しています。
筋の特徴として、三角筋後部線維・棘上筋・棘下筋・小円筋・大円筋・広背筋がそれぞれの腱や筋膜を介して連結しているのに対し、上腕三頭筋は連結されず単体として機能しています。
肩甲帯とバランスの関係
肩甲帯が十分な可動性と運動を保つ事で、バランス調整する事が可能となります。
特に、僧帽筋と広背筋のそれらが相互に協調しあう事によって、肩甲帯を適切な位置に保つ事が可能となります。
正常な場合
正常なバランス反応において、初期では肩甲帯が外転または上方回旋する事で、体幹の立ち直りに先行します。
バランス反応の後期(支持基底面が外れた際)では、保護伸展反応として肩甲帯は下制に切り替わり手を付きます。
肩甲帯に異常が生じると
肩甲帯の不動やローテーターカフ筋群の機能不全などの障害が生じると、肩甲帯下制の萎縮が生じ、適切な場面で肩甲帯を下制に切り替える事が困難となります。
肩甲帯下制の主動作筋は、広背筋・僧帽筋下部線維・小胸筋・鎖骨下筋となります。
また、広背筋は肩関節の内旋にも働く為、体幹コントロールとして働く際は、肩関節の外旋筋群である棘下筋・小円筋が同時に働く事が必要となります。
肩甲帯-体幹・上肢の関係性
肩甲帯と体幹・上肢の関係において重要な役割を担うのが前鋸筋とされています。
前鋸筋−腹斜筋
前鋸筋は肩甲帯の安定性に働きます。
また、前鋸筋は腹斜筋の起始部と連なっており、この腹斜筋が働くには腹直筋が安定している事、さらには反対側の腹斜筋も同時に働く必要性があります。
菱形筋−前鋸筋
その他にも、菱形筋と前鋸筋は強力に付着し、肩甲骨を安定する役割を担います。
鎖骨−肩甲骨−上腕骨
鎖骨-肩甲骨-上腕骨の連結には、大胸筋と広背筋の協調性と大円筋・鳥口腕筋・小胸筋が安定する役割を担います。
また、体幹との連結をもつ、鎖骨の可動性や鎖骨に付着する筋も重要になります。
・鎖骨は胸鎖乳突筋で頭部と連結。
・大胸筋・胸骨筋・腹直筋で体幹前面と連結。
・広背筋と大円筋で体幹後面と連結。
・また、広背筋と大円筋は、大胸筋とも筋連結している。
参考文献
・井尻朋人他:筋電図から肩甲帯機能を考える.関西理学19:17-26,2019
・藤本鎮也他:体幹と理学療法.理学療法−臨床・教育20:7-14.2013
・山本伸一:臨床OTROM治療.三輪書店:2015