認知症を理解する。〜薬物療法編〜
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管理人のYudai@yudai6363です。

 

今回の記事では、認知症と診断された際に用いられる薬物療法について解説していきます。

認知症の定義

認知症とは、一度正常に達した認知機能が後天的な脳の障害によって持続性に低下し、日常生活や社会生活に支障をきたすようになった状態を指します。

 

つまり、現段階では認知症を完全に治す事は望めない状態となっています。

 

また認知症に対しての介入では、薬物療法と非薬物療法を組み合わせて実施していきます。
(認知症の治療はあくまで非薬物療法が優先である。)

 

 

 

認知症に対する薬物療法

現在使われている薬物療法は、抗認知症薬などによる認知症の症状進行抑制と、介護困難の原因となるBPSDの緩和の為の非定型抗精神病薬が主流となっています。

 

 

抗認知症薬

抗認知症薬とは、決して認知機能を改善するという事では無く、あくまでも認知症の症状の進行性を抑制するものです。

 

また進行性を抑制できる期間は長くても、数ヶ月〜半年程度が多くその後は薬の効果が効きにくくなり症状が進行していきます。

 

 

非定型抗精神病薬

BPSDに対する非定型抗精神病薬は、極めて早く適切に投与すれば数週間〜数ヶ月で改善が見込めます。

 

しかし、あくまでもBPSDへの介入は薬物療法より非薬物療法を優先します。

 

理由として、2005年にアメリカ食品医薬薬局(FDA)は「非定型抗精神病薬が投与された高齢認知症患者群において、プラセボ群と比較し死亡率が1.6〜1.7倍高い」と報告されています。

 

 

 

薬物療法の種類

抗認知症薬

抗認知症薬では、ドネペジル・メマンチン・リバスチグミン・ガランタミンが主に使用されます。

 

また、これらの薬物は認知症の症状進行抑制の他にも、BPSDに対しても、何らかの効果が期待できるとされています。

 

ドネペジル

●適応:
・軽度から重度のアルツハイマー型認知症
・レビー小体型認知症

 

●BPSDに対する報告:
・プラセボに比較して「抑うつ」「アパシー」「不安」が改善。

 

●副作用:
・食欲不振・悪心・嘔吐などの消化器症状、
・高度徐脈・心ブロックなどの循環器症状。

 

 

メマンチン

適応:
・中等度から重度のアルツハイマー型認知症

 

●BPSDに対する報告:
・プラセボに比較して「興奮/攻撃性」「易刺激性/不安定」「妄想」「幻覚」が改善。

 

●副作用:
・めまい・便秘・体重減少・頭痛・腎機能障害。

 

 

リバスチグミン

適応:
・軽度から中等度のアルツハイマー型認知症

 

●BPSDに対する報告:
・ドネペジルに比較して75歳以下で「アパシー」「不安」「脱抑制」「食欲低下/食行動異常」「夜間異常行動」に対して改善傾向。

 

●副作用:
・食欲不振・悪心・嘔吐などの消化器症状、高度徐脈・心ブロックなどの循環器症状。

 

 

ガランタミン

適応:
・軽度から中等度のアルツハイマー型認知症

 

●BPSDに対する報告:
・プラセボに比較して「脱抑制」「異常行動」「興奮/攻撃性」が改善。

 

●副作用:
・食欲不振・悪心・嘔吐などの消化器症状、高度徐脈・心ブロックなどの循環器症状。

 

 

 

非定型抗精神病薬

認知症疾患診療ガイドライン2017では、BPSDにおいて非定型抗精神病薬を内服する場合として、「大うつ病」「他者に危害を加える恐れの高い妄想」「自傷・他害の原因となる攻撃性」の要素が1つでも当てはまる場合に内服を検討するとされています。

 

また橋本らの報告では、BPSDにおいて非定型抗精神病薬を内服する症状として、NPIより「妄想・幻覚・興奮・うつ・不安・易刺激性・睡眠障害」が称した場合に内服を検討します。

 

非定型抗精神病薬では、リスペリドン・オランザピン・クエチアピンが主に使用されます。

 

 

リスペリドン

●BPSDに対する報告:
・「幻覚」「妄想」「感情や意欲」などが改善。

 

●副作用:
・食欲不振・悪心・嘔吐などの消化器症状や、振戦や固縮などの錐体外路症状、その他に倦怠感・不眠症・不安などの自律神経症状など。

 

 

オランザピン

●BPSDに対する報告:
・「幻覚」「妄想」「攻撃性」「易刺激性/不安感」などが改善。

 

●副作用:
・食欲亢進・悪心・嘔吐などの消化器症状や、振戦や固縮などの錐体外路症状、その他に倦怠感・不眠症・不安などの自律神経症状など。

・高血糖や糖尿病を合併している場合は使用不可とされています。

 

クエチアピン

BPSDに対する報告:
・「幻覚」「妄想」「攻撃性/興奮」「易刺激性/不安感」などが改善。

 

●副作用:
・食欲亢進・悪心・嘔吐などの消化器症状や、振戦や固縮などの錐体外路症状、その他に倦怠感・不眠症・不安などの自律神経症状など。

・高血糖や糖尿病を合併している場合は使用不可とされています。

 

 

 

まとめ

・認知症に対する薬物療法は、抗認知症薬などによる認知症の症状進行抑制と、介護困難の原因となるBPSDの緩和の為の非定型抗精神病薬が主流となっている。

 

・抗認知症薬は、あくまでも認知症の症状の進行性を抑制するものであり、進行性を抑制できる期間は長くても数ヶ月〜半年程度が多くその後は薬の効果が効きにくくなり症状が進行していく。

 

・非定型抗精神病薬を使用する前に、まずは非薬物療法でBPSDが緩和できる様に介入する。理由として、非定型抗精神病薬が投与された高齢認知症患者群において、プラセボ群と比較し死亡率が1.6〜1.7倍高いとの報告がある為である。

 

 

 

 

 

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参考文献・書籍

・橋本衛:認知症のBPSDの薬物治療:精神科からのメッセージ. 臨床神経 2011;51:857-860

 ・水上勝義:BPSDの薬物療法. Japan J Gen Hosp Psychiatry Vol. 23 No. 1 (2011)

 ・認知症の治療原則と選択肢.日本神経学会

 ・工藤喬:認知症に伴う精神症状問題行動に対する薬物療法.老年期認知症研究会誌 Vol.16 2010

 ・認知症疾患診療ガイドライン2017. 一般社団法人日本神経学会

 ・田平隆行:Evidence Based で考える 認知症リハビリテーション.医学書院