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今回は「肺音の聴診」についての理解を深めていきます。
目次
肺音の分類
肺音は呼吸音と副雑音に分けられます。
呼吸音はさらに、気管呼吸音と気管支呼吸音、肺胞呼吸音に分けられます。
また副雑音は呼吸音以外の肺音であり、正常な呼吸音では副雑音は聴かれません。
副雑音のほとんどはラ音であり、断続性ラ音と連続性ラ音に分けられます。
また、肺以外からでる副雑音では胸膜摩擦音があります。
正常呼吸音
正常呼吸音には、気管呼吸音と気管支呼吸音、肺胞呼吸音の3種類があります。
気管呼吸音
・聴診位置:
→気管部で聴診可能。
・音の性質:
→強く高音で吸気と呼気の両方が聴こえる。
↓気管呼吸音↓
気管支呼吸音
・聴診位置:
→前部では第1〜2肋骨間、背部では肩甲骨間で聴診可能。
・音の性質:
→やや高音で吸気と呼気の間が不明瞭となり、呼気が弱くなる。
↓気管呼吸音↓
肺胞呼吸音
・聴診位置:
→両肺野の大部分で聴診可能。
・音の性質:
→弱く低音で吸気は聴こえるが呼気はかなり減弱する。
↓肺胞呼吸音↓
・正常呼吸音を聴診するPoint
正常呼吸音、特に肺胞呼吸音では呼気の末期が聴こえない事を覚える。
異常呼吸音
呼吸音に異常をきたすと、呼吸の減弱・消失・呼気延長・気管支音化が生じます。
呼吸音の減弱・消失
・肺気腫
肺気腫では、肺の過膨張が進むと音の伝播が低下し音が胸壁に伝わりにくくなります。
その為、両側性に呼吸音の減弱が生じます。
・胸水など
胸水では、胸腔内に胸水が貯留すると音の伝播が低下し、胸水が貯留している側に変則性に呼吸音の減弱が生じます。
呼気延長
・喘息・気管支炎・肺水腫など
抹消気道の狭窄により、喘鳴を伴う呼気時間の延長が生じます。
気管支呼吸音化
・肺炎・結核性病変
肺が硬くなる事で音の伝播が強まり、肺野(第7〜9分岐)での呼気音は荒く鋭利な音が聴取されます。
異常呼吸音を聴診するPoint
呼吸音が増強している場合は、決して正常では無い。
特に肺野で呼気音が聴診された場合は何らかの異常が生じている。
副雑音
ラ音には、連続性ラ音と断続性ラ音があり、それぞれ高音性と低音性に分けられます。
さらに連続性ラ音では、笛様音・いびき様音があり、断続性ラ音では、捻髪音・水泡音の4つに分けられます。
・連続性ラ音
連続性ラ音は、気道の一部の狭窄により、狭窄部位での気流速度が増大し気道壁が振動する事で生じます。
また連続性ラ音には、笛様音といびき様音に分けられます。
☆笛様音
高音性の連続性ラ音であり、抹消(細かく硬い)の気道狭窄で呼気延長を伴い「ピー・ヒュー」という笛のような音が呼気終末期に生じます。
主な原因疾患として、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患、分泌物の貯留、うっ血性心不全などが挙がります。
↓笛様音↓
☆いびき様音
低音性の連続性ラ音であり、中枢(太く柔らかい)の気道狭窄で「ガー・グー」というイビキのような音が呼気時(吸気時でも聴取可能)に生じます。
主な原因疾患として、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患、慢性気管支炎、びまん性汎細気管支炎、気管支拡張症、分泌物の貯留、腫瘍による狭窄などが挙がります。
↓いびき様音↓
・断続性ラ音
なにかが破裂したり爆発したりするような音で、気管支の開通や喀痰などの破裂で生じます。
また 断続性ラ音では、捻髪音と水泡音に分けられます。
☆捻髪音
高音性の断続性ラ音であり、呼気時にいったん虚脱した細かい気管支が吸気時に再開放する事で生じます。
音の聴こえ方として「チリチリ・パリパリ」という髪を耳元で捻る様な音が深吸気時の下肺野で聴取されます。
また体位に影響され、腹臥位では減弱し背臥位で増強されます。
主な原因疾患として、肺線維症、間質性肺炎、軽度心不全、肺水腫初期などが挙がります。
↓捻髪音↓
☆水泡音
低音性の断続性ラ音であり、太い気管支壁に張った液体膜が気流により破裂する事で生じます。
音の聴こえ方として「ゴロゴロ・ブツブツ」という様な音が吸気前半から聴取されます。
主な原因疾患として、進行した肺水腫、肺炎、気管支拡張症、慢性気管支炎、びまん性汎細気管支炎、慢性閉塞性肺疾患の急性憎悪時、心不全などが挙がります。
↓水泡音↓
・胸膜摩擦音
胸膜摩擦音では、肺の内側膜である臓側胸膜と、外側膜である壁側胸膜のズレが一定限界に達した時に擦れて生じます。
音の聴こえ方として、やや高音の「ゴソゴソ・バリバリ」という様な音が呼気、吸気のいずれでも聴取されます。
主な原因疾患として、胸膜炎の炎症初期や吸収期などが挙がります。
↓胸膜摩擦音↓
実際の肺聴診
聴診は単に胸に聴診器を当てるだけでは無く、目的となる部位に対し的確に当てる必要があります。
通常の聴診部位は、前胸部4箇所・背部4箇所となります。
肺音は、前胸部から左右対称に1〜4まで、背部は5〜8まで聴診します。
1・2では低音性の副雑音が聴かれ、3・4では連続性ラ音が聴かれます。
5・6では中枢気道狭窄や誤嚥性肺炎に伴う断続性ラ音が聴かれ、7・8では間質性肺炎や誤嚥性肺炎に伴う断続性ラ音が聴かれます。
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参考文献
・山内豊明:自信がもてる 呼吸音の聴診と評価. 月刊ナーシング Vol.29 No.11 2009
・長坂行雄:臨床で役立つ肺音の聴診. 洛和会病院医学雑誌Vol.29.2018
・岡三喜男:肺聴診の基本と病態推論. 呼吸33巻7号.2014
・村田朗:医学教育における肺聴診とOSCE. 日本胸部臨床63巻7号.2004
尚、この記事は @domonkattshu さんにアドバイス等を頂き作成しました。