
ウェブページを閲覧して頂き有難うございます。
管理人のYudai(@yudai6363)です。
今回は、脳卒中の片麻痺対象者による
解説をしていきたいと思います。
目次
運動のメカニズム
運動とは、「姿勢コントロールと随意運動」の両方が協調する事で成り立ちます。
▶︎姿勢コントロール
姿勢コントロールとは、重力に抗して姿勢を起こす事や、リーチする際にバランスを取り続ける事などを常に無意識化でコントロールしています。
姿勢コントロールを支配する代表的な神経路として、
「皮質網様体脊髄路・前庭脊髄路」
があります。
これらの神経路は、同側性あるいは両側性に下行します。
↓詳しくは、こちらの記事を参照。↓
▶︎随意運動
姿勢コントロールを考えるうえで、随意運動の役割を理解する必要があります。
随意運動は、姿勢コントロール成り立っているうえで、発揮されます。
随意運動を支配する代表的な神経路として、
「外側皮質脊髄路」
があります。
外側皮質脊髄路は、一次運動野と補足運動野・運動前野に起始する皮質脊髄路が錐体交叉し、対側の背側索を下行します。
↓詳しくは、こちらの記事を参照。↓
神経システム
姿勢コントロールには、
「フィードフォワードシステムとフィードバックシステム」
があります。
これらが相互に協調する事で、姿勢コントロールが可能となります。
▶︎フィードフォワードシステム
予測可能な外乱(内的な外乱)では、フィードフォワードシステムによって発動します。
予測可能な外乱は、随意運動であり自分自身で動いた動作が外乱となり姿勢が乱れる事を指します。
フィードフォワードシステムでは、予測される身体外乱に先行する「予測的運動制御機構(APA‘s)」があり、「皮質網様体脊髄システム」が大きく関与しています。
▶︎▶︎皮質網様体脊髄システム
フィードフォワードシステムは、皮質網様体脊髄システムが関与しており、主に運動野・運動前野から起こります。
また、皮質網様体脊髄システムは、
「橋網様体脊髄システムと延髄網様体脊髄システム」
に分かれ体幹や近位筋を支配します。
★橋網様体脊髄システム
橋網様体脊髄システムは、同側性に下行し抗重力伸展活動を興奮させ予測的運動制御機構(APA‘s)に関与する働きがあります。
★延髄網様体脊髄システム
延髄網様体脊髄システムは、両側性に下行し抗重力伸展活動のコントロールに関与する働きがあります。
▶︎▶︎予測的運動制御(APA’s)
予測的運動制御(APA‘s)は、四肢の随意運動によって引き起こされる動揺に抗するように体幹を空間に定める事で、目的とする運動出力は局所の運動として達成されます。
予測的運動制御(APA‘s)は、生得的な反射によるものでは無く、随意運動が開始される前に上位中枢機構からの指令により発現しており、過去の記憶体験に基づいて学習されます。
つまり、予測的運動制御(APA‘s)は、バランスを保持する為の姿勢コントロールの一部として大きな役割を担います。
主に動作を開始する前から身体が予測して、バランスを崩さず動作が遂行できるように姿勢を調節します。
下のイラストは、予測的運動制御(APA‘s)を示す筋電図となっています。
立位で一側上肢を急速に前方挙上する際に、主動作筋の三角筋よりも先行して同側の大腿二頭筋の筋放電が発生しています。
このような大腿二頭筋の先行的な筋活動が予測的運動制御(APA‘s)とされています。
▶︎フィードバックシステム
フィードバックシステムは、立ち直り反応や平衡反射といった生理的な反射・反応を司るシステムです。
予測不能な外乱(外的な外乱)では、外乱後の感覚フィードバックシステムによって発動します。
予測不能な外乱は、人や障害物とぶつかるなどの身体の外から起こる姿勢の乱れである為、予測不可能となります。
またフィードバックシステムでは、「前庭脊髄システム」が大きく関与します。
▶︎▶︎前庭脊髄システム
前庭脊髄システムは、延髄に位置する前庭核から起こり、同側性に下行します。
また前庭脊髄システムでは、休息時でも持続的に活動しており、とても素早いシステムとなっています。
つまり、バランスを崩した場合に前庭脊髄システムは、持続的に活動している事で急速に反応する事が可能となります。
脳卒中対象者の姿勢
下のイラストは左麻痺を呈する脳卒中対象者の端座位と立位姿勢を描いています。
この姿勢を見て一般的に、麻痺側の体幹が弱い、左臀筋が機能しない事が原因で麻痺側に倒れているのでは?と思われる場合が多いと感じます。
本当にこれらが原因で麻痺側に倒れているのでしょうか?
脳卒中対象者の体幹機能はKarthikbabu によって、以下のように述べられています。
・脳卒中により、身体の同側と対側の両方が障害される。
・脳卒中により、体幹筋は身体を直立に保つ事や体重移動を調節する事、重力に抗して運動をコントロールする事が困難となる。
(Karthikbabu et al.2012)
これらの事や、先ほどから解説している姿勢コントロールの観点から考えると、、、
非麻痺側体幹の抗重力伸展活動の低下や予測的運動制御が生じず、結果的に麻痺側に体幹が崩れている事が原因
であると考えられます。
この事から、端座位や立位姿勢を評価する際は麻痺側だけを評価するのでは無く、特に体幹では両側をきちんと評価する事が重要と考えます。
まとめ
今回は、上肢リーチに伴う体幹機能についてまとめさせて頂きました。
リーチ動作においての姿勢コントロールは土台的な役割を担っており、極めて重要という事がわかったでしょうか?
今までの情報をザックとまとめると、以下の内容になります。
・姿勢コントロールを支配する神経路は、同側性あるいは両側性に下行する。
・姿勢コントロールには、フィードフォワードシステムとフィードバックシステムが相互に協調する事で成り立つ。
・脳卒中対象者の片麻痺を呈する座位・立位姿勢では、非麻痺側体幹の伸展活動の低下によって麻痺側に体幹が崩れている場合が多い。
などといった事が挙げられます。
最後まで、閲覧して頂き有難うございます。
もし良かったら、Instagram・Twitterのフォローをお願いします。
※ウェブページの見出しから、各リンクへのアクセス可能となっています。
参考文献
・高草木薫:大脳皮質・脳幹-脊髄による姿勢と歩行の制御機構.脊髄外科27:208-215,2013
・後藤淳:感覚入力における姿勢変化.関西理学療法10巻:5-14,2014
・板谷厚:感覚と姿勢制御のフィードバックシステム.バイオメカニズム学会誌.Vol39:194-204,2015
・山本伸一:臨床OT ROM治療-運動・解剖学の基本的理解から介入ポイント・実技・症例への展開-.株式会社三輪書店,2015
・柏木正好:環境適応-中枢神経系障害への治療的アプローチ-.株式会社青海社,2004