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目次
弛緩麻痺における臥位姿勢
片麻痺対象者の背臥位姿勢において肩関節は変位を起こしやすいです。
弛緩性麻痺であれば、上腕は外旋方向へ転がり落ちます。
しかし、骨頭は生物学的修復の中で内旋方向へ緊張を高める作用があり、胸筋群・上腕二頭筋の緊張を高める事になります。
そうなると、抹消部では橈側筋や手指屈筋群が過緊張になる事が臨床でよく診られます。
今回は、脳卒中の片麻痺対象者に対する前腕から手指への介入方法を中心にまとめていきます。
ディープ・フロントアーム・ライン:DFAL
アナトミートレイン(筋筋膜経線)を用いて説明する事で、胸筋群・上腕二頭筋が過緊張になる結果、橈側筋や手指屈筋群にも過緊張が生じるメカニズムが理解できます。
DFALは、胸部前面から始まり母指球まで腕の深層を走行します。
・第三、第四、第五肋骨
↓
・小胸筋、鎖骨胸筋筋膜
↓
・鳥口突起
↓
・上腕二頭筋
↓
・橈骨粗面
↓
・橈骨骨膜、橈骨前縁
↓
・橈骨茎状突起
↓
・外側側副靭帯
↓
・舟状骨、大菱形骨
↓
・母指球筋
↓
・母指外側
このように、小胸筋から母指球筋まで筋連結している事から、小胸筋や上腕二頭筋が過緊張になると、必然的に母指球筋も過緊張となり結果的に前腕部の安定性低下や手指の巧緻性低下が生じます。
前腕
▶︎前腕の問題点
前腕は橈骨〜尺骨間の可動性に支障を来す事が多いです。
特に、腕橈骨筋・円回内筋・上腕二頭筋が隣接したエリアではアライメントが崩れやすく、短縮傾向になりやすくなります。
そうした場合では、前腕回外方向への可動域低下や手指屈筋群が過緊張となりやすくなります。
その為、DFALを正常な位置へ誘導する必要があります。
▶︎前腕の介入
上腕二頭筋・腕橈骨筋を把持し、圧縮と伸張を繰り返す事で粘弾性を引き出します。
その後、上腕二頭筋の把持部位を上腕三頭筋に持ち変え固定させます。
その状態で腕橈骨筋が回外筋の上を滑らせるように動きを引き出します。
これらを行う事で、回外方向への運動性・可動性を向上させます。
手関節・手掌
▶︎手関節・手掌の問題点①
手関節は屈筋・伸筋支帯に浮腫が蓄積しやすいです。
また、前腕屈筋群の過緊張とともに手根骨は橈骨手根関節間の狭小化や掌側に変位しやすくなります。
その結果、豆状骨が変位し、背屈・掌屈方向に制限が生じやすくなります。
▶︎手関節・手掌の問題点②
掌屈・橈屈に働く筋が過緊張となると、母指・示指・中指の中手骨の動きに制限が生じやすくなります。
その結果、尺屈も橈屈の可動性の低下とともに可動域の制限が生じ、小指球筋群の筋収縮低下も生じます。
そうなると、橈屈の動きを必要とする尺屈の動きを伴った筋力を生み出す事が困難となります。
▶︎手関節・手掌の介入
片麻痺を呈する対象者の豆状骨は、可動性が損なわれ痛みを伴いやすいです。
豆状骨への介入として、豆状骨を把持し左右間の動きを引き出します。
左右間の動きを引き出す事が出来たら、続いて中手骨引き離すよう上下の動きを引き出します。
その後、尺屈と掌屈を組み合わせ、豆状骨が尺骨・手根骨間に潜り込むように誘導し、手関節の可動域を拡大させます。
手掌への介入では、手掌面を広げ、横・縦アーチを確保する事が重要となります。
手指
▶︎手指の問題点
手指屈筋群の過緊張は、基節骨・中手骨に歪みを生じさせ、手指は橈側に変位し、背側の関節部分の皮膚が伸張された状態になります。
そうなると、手指の屈曲・伸展や他動的な関節間の内転・外転の可動性が損なわれます。
▶︎手指の介入
手指に対しての介入は、手指を伸展位に保ちつつ、MP関節を上下・回旋に加えながら手指の動きを引き出します。
また、屈筋群は側部に変位している事が多く、指腹部へのアライメントを修正する必要があります。
IP関節も同様に屈筋群のアライメントを修正し圧迫・伸張を加え粘弾性を取り戻すように介入していきます。
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参考文献・書籍
・山本伸一:臨床 OT ROM 治療-運動・解剖学の基本的理解から介入ポイント・実技・症例への展開-.株式会社 三輪書店,2015.p26-33.
・山本伸一:中枢神経系疾患に対する作業療法-具体的介入論からADL・福祉用具・住環境への展開-.株式会社 三輪書店,2009.p83-88.
・柏木正好:環境適応-中枢神経系障害への治療的アプローチ-.株式会社 青海社,2004.p12-15.
・坂場英行:アナトミートレイン-徒手運動療法のための筋筋膜経線-第3版.株式会社 医学書院,2017.p168-190.