リーチ動作に伴う体幹機能を理解する。〜姿勢制御と運動制御を中心に〜
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管理人のYudai@yudai6363)です。

 

今回からは、脳卒中対象者のリーチ動作に伴う体幹機能を

の観点から解説していきます。

 

 

上肢のリーチ動作において、肩関節のみの運動で表現する事は適切で無く体幹の運動が基盤となります。

 

基盤となる体幹の運動が円滑に遂行できる事によって、上肢のリーチ動作が獲得されます。

バランス

ヒトは体幹を中心として中間位でのバランスを保ちながら、頭頸部、両上肢、両下肢の活動が円滑に行う事ができるように関与します。

 

また、姿勢制御機能によって姿勢がバランスよく保たれ、最も効率的で安定した機能的活動を実現する事ができます。

 

 

 

 

姿勢制御と運動制御

中枢神経の姿勢と運動に関わる神経路として、腹内側系神経路と腹外側系神経路に分ける事ができます。

 

腹内側系神経路は主に、橋網様体脊髄路、前庭脊髄路、延髄網様体脊髄路、視蓋脊髄路、内側皮質脊髄路であり、直立姿勢の維持や頭部・体幹の方向付け、四肢と体幹の運動の統合などに関与し、無意識的な姿勢制御に関して重要な役割を担います。

 

腹外側系神経路は主に、外側皮質脊髄路、赤核脊髄路であり、四肢の独立した運動、手指の高度に独立した運動などに関与し、意識的な運動制御に関して重要な役割を担います。

 

 

 

 

予測的運動制御

随意運動としての行動の発現には姿勢制御が先行して働き、随意運動が原因となりバランスを崩す潜在的な要因を最小限にする為の予測的運動制御が働きます。

 

Balen’kiiらの報告によると、安静立位の状態から一側上肢をできるだけ早く挙上した際に主動作筋である三角筋よりも先行的に同側の大腿二頭筋と対側の脊柱起立筋群に筋放電が出現する事を発見しています。

 

一側上肢を素早く挙上する、という課題を遂行する事によって、立位姿勢を保とうとしていた身体の平衡は乱されて不安定になります。

 

これらを補償する為に、先行的に予測的運動制御が働きバランスを保っています。

 

 

 

 

姿勢緊張を構成する筋群

体幹筋は両側性活動が中心であり、姿勢緊張(core stability)を構成する筋群(腹斜筋、腹横筋、脊柱起立筋群、多裂筋、骨盤底筋群など)により安定性と運動性を得ています。

 

その為、リーチ動作においてcore stabilityに着目する事は重要と考えています。

 

 

 

 

挙上運動に伴う体幹の筋活動

文献をもとに体幹挙上時の体幹の筋活動について一部抜粋します。

▶︎前方挙上時の体幹筋活動

 ・上肢前方挙上120°〜180°において非挙上側の脊柱起立筋群に筋活動の増大を認める。(Kapandji

 

・上肢前方挙上において両側の脊柱起立筋群すべての前方挙上角度において上肢下垂位と比較して有意に筋活動が増加する。(高橋

 

つまり、前方挙上においては、非挙上側もしくは両側の脊柱起立筋群の筋活動が必要になる事が考えられます。

 

 

▶︎側方挙上時の体幹筋活動

・立位にて一側上肢を側方挙上90°で保持させた際に非挙上側へ体幹が側屈し、非挙上側の内外腹斜筋と脊柱起立筋の筋活動が増大する。(中村

 

つまり、側方挙上側の重量が支持基底面(BOS)に対して、側方挙上側方向へ移動することで非挙上側の体幹筋が働きます。

 

 

 

まとめ

基盤となる体幹の運動が円滑に遂行できる事によって、上肢のリーチ動作が獲得される。

 

中枢神経の姿勢と運動に関わる神経路として、腹内側系神経路と腹外側系神経路に分ける事ができる。腹内側系神経路では無意識的な姿勢制御に関して重要な役割を担い、腹外側系神経路では意識的な運動制御に関して重要な役割を担う。

 

姿勢制御に関しての重要な機能の1つに予測的運動制御がある。予測的運動制御とは、随意運動よりも先に姿勢制御が先行して働き、随意運動が原因となりバランスを崩す潜在的な要因を最小限にする為の機能となる。

 

体幹筋は両側性活動が中心であり、姿勢緊張(core stability)を構成する筋群(腹斜筋、腹横筋、脊柱起立筋群、多裂筋、骨盤底筋群など)が働く事により、リーチ動作時の体幹の安定性と運動性を得る。

 

 

 

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参考文献

・久保田勝徳:脳卒中片麻痺患者の体幹機能と皮質網様体線維の関係 〜Probabilistic tractographyを用いた解析〜,Japanese Journal of Comprehensive Rehabilitation Science,2019

・嘉戸直樹:体幹筋群および殿筋群への治療により麻痺側上肢機能の改善を認めた脳血管障害片麻痺患者1症例,関西理学,2002

・林哲弘:体幹部に協調運動障害を認めた脳幹梗塞の症例 ~ 上肢の挙上動作に着目して~,関西理学,2014

・丸岡祥子:上肢運動に際した先行随伴性姿勢調節に関する文献的研究,関西医療大学紀要,2012

・大沼俊博:上肢挙上の運動学的解釈,Sportsmedicine ,2016

・Kapandji IA:関節の生理学1上肢,第1版,医歯薬出版,2003

・高橋和弘:肩関節屈曲運動時の体幹運動と体幹筋活動,第10回肩の運動機能研究会,2013

・中村隆一:基礎運動学第6版.医歯薬出版,2007

・高草木薫:大脳皮質・脳幹-脊髄による姿勢と歩行の制御機構.脊髄外科27:208-215,2013