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今回は「歩行におけるロッカーファンクション」について解説していきます。
目次
倒立振子モデル
歩行における重心移動の前方への推進には、重力が駆動力として利用されます。
身体に作用する重力の作用には、「倒立振子モデル」の原理に基づき、足底に作られた支点を中心とする回転運動に変換されます。
倒立振子とは、支点が床に固定され、棒の先端に重りが付いており、支点を中心として重りが回転運動するモデルとなっています。
このモデルを歩行に例えると、支点が足底、棒が下肢、重りが重心になります。
重力環境下では、倒立振子の回転運動は「位置エネルギーを運動エネルギーに変換する事」によって生じます。
棒が垂直になった位置では、重りが最も高い位置にあり、この状態は最も位置エネルギーが高い状態になります。
また、重りを傾けると重力の働きで、棒は支点を中心に回転しながら前方に倒れていきます。この際、位置エネルギーが運動エネルギーに変換される事で、前方に倒れる力が働く事になります。
歩行における倒立振子モデル
歩行において、これらの倒立振子モデルを利用し、重心の上下動を繰り返し位置エネルギーと運動エネルギーを交互に変換させる事で効率の良い歩行が可能となります。
歩行において身体が回転する支点は、
IC〜LRでは踵にあり、
LR〜MStでは足関節、
MSt〜TStでは中足指節間関節と移動します。
また歩行における3つの回転軸はPerryが提唱した、「ロッカーファンクション」という要素が重要と考えられており、「足部を軸にしてスムーズに前に進む為の戦略」となっています。
ロッカーファンクション
ロッカーファンクションは主に3つの機構から成り立っています。
①heel rocker(踵ロッカー):IC〜LR
②ankle rocker(足関節ロッカー):LR〜MSt
③forefoot rocker(足前部ロッカー):MSt〜TSt
heel rocker(ヒールロッカー)
踵接地時に重心は最高点から一気に最下点へ落下します。
heel rockerは、踵骨隆起の丸みを利用して回転運動を行い前に進みます。
heel rockerの役割として、踵接地時には前脛骨筋や大腿四頭筋、ハムストリングスなどの踵接地時に活動する筋のほとんどが遠心性収縮を行い衝撃の吸収に働きます。
これらの筋の作用によって、通常の歩行では衝撃が体重の1.2倍程度まで抑える事が可能になります。(実際に約2cm重心が落下する為、骨や筋、内臓、脳などに衝撃が生じ大きなダメージを受けるが、heel rockerの働きにより衝撃を吸収する事が可能。)
ankle rocker(アンクルロッカー)
ankle rockerは、踵骨を中心として重心が前方に回転していく時期になります。
股関節と膝関節が伸展してMStに身体は垂直に近づき、MStを過ぎると身体は重力によって前方回転する力を受け始めます。その際に、下腿が前方に引っ張れ、膝関節が屈曲し重心が前方に移動します。
ankle rockerの役割として、重心が足関節を超える事で身体が前方に倒れる力が働きますが、その際に身体の前方回転にブレーキをかける事で重心を制御する事が可能になります。またその為には、ヒラメ筋の遠心性収縮が重要となります。(ヒラメ筋に機能低下が生じた場合、前方回転速度は重力速度に比例し増加し続ける為、ゆっくりと一定の速度で歩行する事が困難になる。)
forefoot rocker(フォアフットロッカー)
forefoot rockerは、最後の蹴り出しの部分になります。
MStでは、身体の回転軸は足関節にあり、MSt〜TStにかけて中足指節間関節へと移動します。またMStでは最も高い位置に重心があり、TStから重心が下降していきます。
forefoot rockerの役割として重心の下降を穏やかにする為に、足関節を中心とした回転運動から中足指節間関節を中心とした回転軌道に移動する事で円軌道を上方に修正する働きがあります。回転軸の移動には、腓腹筋の60〜80%の最大筋力が必要となります。
またもう1つの役割として、重心移動の方向をコントロールする働きがあります。
中足指節間関節の矢状面に対する軸は、母趾側の軸は斜め内側を向き、小趾側の軸は斜め外側を向きます。
この事により、母趾側と小趾側の軸を使い分ければ、身体をどの方向にも移動する事が可能となります。
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参考文献
・石井慎一郎:動作分析 臨床応用講座 バイオメカニクスに基づく臨床推論の実践.株式会社メジカルビュー社.2019
・江原義弘:歩行分析の基礎-正常歩行と異常歩行-.日本義肢装具学会誌.2012